人気イラストレーターの松尾たいこさんは、2018年の夏に愛犬いくらちゃんと突然の別れに直面しました。インドアで身体も弱かった松尾さんにとって、いくらちゃんは15年寄り添って生きてきた人生のパートナーでした。モノクロの人生に色をつけるように多くのコンプレックスや苦手を克服してきた松尾さんですが、いくらちゃんは間違いなく人生をよりカラフルにしてくれる存在でした。あまりのことにしばらく事実を受け入れることができず、誰にも言えなかったと言います。

松尾さんが人生のパートナーとしていたいくらちゃん 写真提供/松尾たいこ

松尾さんが次の犬を飼おうと思ったとき、「保護犬」という言葉が自然にうかびました。以前はそういう制度があることを知らなかった松尾さんがどのようにして愛する犬と出会ったのでしょう。そして保護犬とはどういう仕組みで、ペットショップとの違いはどこにあるのでしょうか。

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太陽をもたらした神の名前

この夏、およそ1年ぶりに犬との生活が始まりました。
テリア系のミックスで、まだ1歳のやんちゃな女の子です。

 名前は「うずめ」ちゃん。
古事記に登場する神様、アメノウズメから名付けました。
アメノウズメは、アマテラスが岩戸の影に隠れて地上が真っ暗になった時、岩の前で踊って、ふたたび太陽をもたらした神様です。

約1年前に15年間一緒に暮らした愛犬いくらちゃんを亡くし、どこか心にぽっかり穴が開いたような日々を過ごしていました。もともとインドア派の私は、日課だった犬との散歩がなくなったこともあり「今日も靴を履かなかったなあ……」と部屋に引きこもるような毎日でした。

いまは、うずめちゃんが我が家を明るく照らしてくれています。彼女の名前には、そんな気持ちも込めています。

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処分期限の来た犬たち

全国には多くの犬猫の保護団体があり、活動方法は様々だと思います。ですから私の体験は保護犬譲渡の一例だと思ってください。
 
うずめちゃんは、犬の保護団体Dog Shelterからやってきました。
 
Dog Shelterでは、東京都動物愛護相談センターに収容されて処分期限の来た犬たちを定期的に引き取っています。一時預かり家庭でしつけを行ったのち、新しい家族を募集するのです。

命の期限が迫っている犬を優先し、その中でも一時預かり家庭の事情も考慮するので、本当に救いたい命のごくごく一部しか救えないそうです。

赤坂にヴィノーブルという大好きなオイスターバーがあります。そこで働いている尾又さんの奥様がトリミングサロンCONANAを営まれながら一時預かりの活動をされていて、私はその縁で、こちらの団体のことを知りました。

引き取った犬たちに、まずはペットサロンなどでトリミング、医療ケア(避妊去勢手術・ワクチン接種・必要医療)を行います。スタッフ宅にて1~2週間ほど保護観察して適した一時預かり宅に託し、家庭犬としてのしつけを行いながら、新しい里親家族を探すことになります。

DogShelterでは、若い健康な犬でなくても、その犬がどのような家庭に向いているかを判断し、適正をみて引き取っているようです。だから、高齢の犬や体の面でハンディキャップのある犬もいます。