「暗号資産」による政治献金、本当に「合法」で大丈夫なのか?

海外ではこうなっている
蒔田 純 プロフィール

繰り返しになるが、日本では、政治家個人への献金は禁じられている。それは、政治資金規正法第21条第2項が、公職の候補者の政治活動への「金銭等」による寄付を禁じていることを見れば明らかだ。ここで言う「金銭等」というのは、同法の第4条第1項によると「金銭」そして、「その他政令で定める財産上の利益」を意味する。

では、「その他政令で定める財産上の利益」とはなんなのか。これは、政治資金規正法施行令第2条によると「有価証券」を指す。そこに暗号資産は含まれていない。つまり、暗号資産は同法21条2項で規制されている「金銭等」には当たらないと解されるわけだ。

今後は、施行令第2条で規定する「その他政令で定める財産上の利益」に「暗号資産(仮想通貨)」を加えることにより(「暗号資産(仮想通貨)」は既に資金決済法第2条第5項で定義されている)、政治家個人への暗号資産による献金も規制される必要があるだろう。

 

日本の法律の問題点

現状では暗号資産による政治家個人への献金は政治資金収支報告書への記載義務もないため、最低限の透明性確保のためには、このような措置が必要であろう。その上で、暗号資産を公正・公平に政治参加のツールとして用いることができるよう、適切な環境整備に取り組むべきである。

透明性に関しては、暗号資産による献金は全て政治団体に対して行うとすることで、必然的に収支報告書への記載義務が生じる。その上で、諸外国の例を踏まえ、暗号資産の価値換算をどのように行うか、決済手段として使用する場合に法定通貨への変換を義務付けるか、寄付上限を設けるか、等に関する制度設計を行っていくべきだろう。

相場のボラティリティ(資産の変動の激しさ)に関しては、寄付上限や法定通貨への変換を制度として盛り込む他、献金可能な暗号資産自体を、いわゆる「ステーブルコイン」等に限定することも選択肢の一つであろう。

ステーブルコインとは、法定通貨等へのペッグ(紐付け)や供給量の調節によって価値を安定させた暗号資産のことであり、とりわけ公正性・公平性が求められる政治献金の性格に鑑みると、検討対象になり得るものと考えられる。

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