「暗号資産」による政治献金、本当に「合法」で大丈夫なのか?

海外ではこうなっている
蒔田 純 プロフィール

政治家「個人」への寄付

このように、一部の国・地域では暗号資産による政治献金をめぐる議論が進んでいる。しかし、注意すべきは、暗号資産による政治献金を認めている国・地域でも、献金の受領者は政治家個人ではなく、ほとんどの場合、政党や政治団体が想定されているという点であろう。

例えば、暗号資産による政治献金を公式に認めている上記の米国各州において、その根拠となっている文書*1では、いずれも主語が、候補者個人が持つ政治団体や政治活動委員会(いわゆるPAC: Political Action Committee)になっており、政治家個人が受領するケースが念頭に置かれていないことが分かる。

米国では企業・組合等から政党・政治家への直接的な献金が禁止されており、それ故に、いわゆるPACが発達していることは周知の通りである。また個人から政治家個人に対する寄付は、「選挙に影響を与えるため(Federal Election Campaign Laws 30101(8)(A)(i))」に行われる限り、全て候補者の選挙活動に対する寄付と見做される。

このため、暗号資産を用いて政治家個人に献金が行われたとしても、それが広い意味で選挙に資する目的であれば、事実上、政治家が持つ政治団体に対する寄付となり、報告義務・寄付上限・法定通貨への変換等、上記の規制が適用されることとなる。

 

日本における現状と今後の展開

日本においては、資金決済法第2条第5項において「仮想通貨(暗号資産)は~財産的価値であって~」とされており、これを踏まえて総務省は、政治家や政治団体への寄付を行い得るものと解釈している。そして今回、その中でも政治家個人に対する献金も合法であるとの判断が為されたわけである。

しかし、諸外国の例を踏まえると、やはり日本においても暗号資産を用いた献金は政治団体に限ることとするのが適当であろう。

*1コロラド州:Campaign and Political Finance Rule 10.7、マサチューセッツ州:Office of Campaign and Political Finance発出の通知、ワシントンDC:Title 3 (Elections and Ethics) of the District of Columbia Municipal Regulations
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