2019.11.16

現役最強馬アーモンドアイは「歴代最強馬」になりうるのか?

取材歴37年 ベテラン競馬記者の見方
有吉 正徳
 

桜花賞が1馬身と4分の3、オークスでは2馬身、秋華賞では1馬身と2分の1。これはアーモンドアイが三冠レースで2着馬につけた着差だ。アーモンドアイより前の4頭の三冠牝馬は3レースのうちのどこかで苦戦を強いられており、3レースとも2着馬に1馬身以上の差をつけたのはアーモンドアイが初めてだった。三冠牝馬の中でも飛び抜けた強さを示した。秋華賞までのキャリアは6戦。これは三冠牝馬の中では7戦だったスティルインラブの記録を塗り替え、最少キャリアでの記録達成となった。

ただ牝馬三冠は同世代間の争いだから、世代によって多少レベルの違いはある。アーモンドアイの世代が低レベルだったから、少し強いアーモンドアイが楽勝で三冠制覇を達成したということも考えられた。

だが、そんな疑いは秋華賞の後に出走したジャパンカップで一掃された。

理由② 年上の牡馬を圧倒

1981年に創設されたジャパンカップは日本初の国際レースだ。今でこそ日本調教馬は世界と互角に戦えるほどに強くなったが、ジャパンカップが創設された当時、外国調教馬は日本馬にとって大きな壁だった。外国招待馬と対戦する機会を作り、日本馬を強くするためのレース。

同じGⅠレースの中でもジャパンカップと有馬記念は特別なレースだ。2019年、1着賞金は中央競馬最高の3億円。ダービーは2億円だから、ジャパンカップと有馬記念の権威の高さがうかがい知れる。

2018年11月25日、三冠牝馬となったアーモンドアイは東京競馬場の芝2400メートルで行われた第38回ジャパンカップに出走した。ダービーと同じ競馬場の同じ距離で行われるジャパンカップ。この年は外国招待馬2頭を含むライバル13頭はすべて4歳以上の年上で、しかも牝馬は1頭もいないという組み合わせとなった。

このレースでアーモンドアイはとてつもない強さを披露した。

1枠1番からスタートしたアーモンドアイは先手を奪ったキセキを追って、向こう正面で2番手に上がる。序盤は比較的ゆったりしたペースで流れたが、途中からキセキのピッチが上がった。

それでもアーモンドアイはキセキを射程に入れ、いつでもかわせる位置にいた。残り200メートル付近でクリストフ・ルメール騎手がゴーサインを出すと、あっという間にキセキを外側から追い抜き、先頭に躍り出る。最後までしっかり末脚を伸ばして、1着でゴールした。

優勝タイムが電光掲示板に表示されると、場内がどよめいた。2分20秒6。従来の記録を1秒5も短縮する東京競馬場の芝2400メートルのコース新記録だった。それまでの記録は2005年に英国馬アルカセットが同じくジャパンカップでマークした2分22秒1だった。1秒差はおよそ6馬身差だ。アーモンドアイはアルカセットの9馬身先でゴールした計算になる。

関連記事