2019.11.16

現役最強馬アーモンドアイは「歴代最強馬」になりうるのか?

取材歴37年 ベテラン競馬記者の見方
有吉 正徳
 

ただ期待された引退後の種牡馬(しゅぼば)生活では、トウカイテイオー(皐月賞、ダービー、ジャパンカップ、有馬記念)を送り出しただけで終わり、その血統を広げることができなかったのは残念だった。

「こんな牝馬は見たことがない」

シンボリルドルフの次に巡り合った名馬がディープインパクトだった。今年の7月、頸椎(けいつい)を骨折し、17歳でこの世を去った。

2002年に生まれたディープインパクトは「理想のサラブレッド」だった。2004年から2006年にかけての現役生活で14戦12勝の成績を残した。最高峰のGⅠレースは7勝という競走成績もさることながら、現役を引退してからの種牡馬生活で、5頭のダービー馬の父になった。

なぜヒトは競馬をやるのだろうか。より速い馬を作るため、レースで種牡馬の選別をしているからだ。レースでふるいにかけられ、勝ち残った馬を次代の種牡馬として残す。およそ300年前に始まった近代競馬はそんな目的を持ってレースを繰り返してきた。レースの歴史は、より速い馬を求めてきた品種改良の歴史でもある。

もちろん失敗もある。レースの成績が良かったからといって、いい種牡馬になるとは限らない。競馬はむずかしい。だがディープインパクトは絵に描いたような名馬だった。先祖から受け継いだ能力を現役時代に発揮、そして次世代にもきちんと伝えた。

シンボリルドルフやディープインパクトから名馬とは何かを教えられた僕に、アーモンドアイは2頭を超えるような衝撃を与えた。こんな牝馬(ひんば)は見たことがない。

以下、アーモンドアイが新記録を達成しうると見る理由をあげていく。

理由➀ 三冠牝馬の中でも飛び抜けた強さ

桜花賞、オークス、秋華賞。アーモンドアイが昨2018年に制したのは「牝馬三冠」と呼ばれるレースだった。3歳牡馬(ぼば)の三冠が皐月賞、ダービー、菊花賞なのに対し、3歳牝馬の三冠が桜花賞、オークス、秋華賞だ。牡馬と同じく、牝馬三冠もまた3歳だけの限定レース。一生に一度しか出走のチャンスはない。

これまで牝馬三冠を達成した競走馬はアーモンドアイ以前に4頭いた。メジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナだ。しかしアーモンドアイのようにライバルたちに決定的な差をつけて三冠を達成した馬はいなかった。

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