現役最強馬アーモンドアイは「歴代最強馬」になりうるのか?

取材歴37年 ベテラン競馬記者の見方
 

日本競馬史上「最強」の証ともいえる、JRAのGⅠ最多勝記録・7勝をあげた馬は、これまでに5頭いる。シンボリルドルフ、テイエムオペラオー、ディープインパクト、ウオッカ、キタサンブラック。いずれ劣らぬ名馬だが、その大記録に居並び、追い越そうしているのが、今年の天皇賞・秋を圧勝した現役最強馬アーモンドアイだ。現在5勝の彼女による記録更新を「達成可能」と見るベテラン競馬記者があげた、「3つの理由」とは。

過去の名馬といえば…

競馬の取材を始めたのは1982年1月だった。以来、37年間、馬のおしりを追いかけてきた。幾多の名馬に巡り合い、そのたび競馬の魅力に引き込まれていった。

競馬記者2年目の年に出会ったのがシンボリルドルフだった。1983年7月のデビューから白星を積み重ね、翌年4月の皐月賞を無傷の5連勝で制すると、続く5月のダービーも優勝。11月の菊花賞にも勝って、史上4頭目の三冠馬になった。デビューからの連勝は「8」に伸びていた。無敗のまま三冠制覇を達成したのはシンボリルドルフが初めてという快挙だった。

距離2000メートルの皐月賞、2400メートルのダービー、3000メートルの菊花賞。距離も競馬場も違う3つのレースをすべて優勝すると「三冠馬」と呼ばれる。ただし皐月賞も、ダービーも、菊花賞も出走できるのは3歳馬のみ。「今年は調子が悪いから来年のダービーを狙おう」というわけにはいかない。サラブレッドにとって三冠レースに出走できるのは一生に一度だ。

作家で馬主でもあった菊池寛は競馬関係者に求められると、色紙などに「無事是名馬(ぶじこれめいば)」と書いた。健康でレースに出られることが名馬の条件であるという意味だ。体重が400キロから500キロもある巨体を細い脚で支え、時速60キロものスピードで騎手を背負って走る。脚元の故障は競走馬につきものだ。けがをせず、無事でいることがなによりだ。

強い、速いだけでは名馬になることはできない。菊池寛はそう教えた。1年を通して好調を続け、大レースに勝ち続ける。一生に一度のチャンスをものにした三冠馬は「無事是名馬」の典型である。

シンボリルドルフは通算16戦13勝で現役生活を終えた。三冠制覇のほかに有馬記念(2勝)、天皇賞・春、ジャパンカップのGⅠレースで優勝し、「七冠馬」と呼ばれた。