熱く燃える人気教員がしでかしたこと

教員になって8年目。35歳の年です。子どもたちの成長を感じ、ここから学校を変えていけると感じ始めた1学期の終わり、事件は起きました。

1学期の終業式を終えて、夏休みに入った初日。学級長としてクラスをまとめ、子どもたちが自信を取り戻す原動力にもなった児童が通知表を持って学校に来ると、図画工作を教える専科の先生にこう切り出しました。

先生、あのね。間違っていると思うんだ
「何が?」
「えっとね、ぼくの図工の成績なんだけど」

通知表を開いて、図工の評価のところを指でさしました。

図工の先生はそれだけで息をのみました。その子は図工が大好きで得意なはずなのに、成績は最低評価になっていたのです。
転記ミスかもしれない……。そう思った図工の先生は、成績処理を行なった担任のぼくにすぐに伝えてくれました。

ぼくがすぐさまパソコンに入っているデータを確認すると、こともあろうか別クラスのデータを間違えて名簿に転記していたことがわかりました。冷汗が背中に伝わるのが自分でもわかりました。

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その時、「先生が写し間違えました。ごめんね」と謝って、この子の成績のみを訂正することももしかしたらできるかもしれない――。一瞬、そんなあくどい考えがぼくの頭をよぎりました。

しかし、そのような考えはすぐに消えました。それは、どんな評価であったとしても、児童一人ひとりが取り組んできた学びに対して、誤った成績を与えることは教師としてできないと思ったからです。

まず、副校長に事実を伝えました。ことの重大さを理解した副校長とともに、校長に報告しました。

すると「森田さんはどうしたいの?」と聞かれました。

「ぼくは、子どもたちに全員に謝りたいです」

校長は「そうですね。速やかに事故について知らせるためにも、緊急保護者会を開きましょう」とおっしゃいました。