# 地方創生

日本人は、ここから「多拠点生活」をすべきワケ

「知らないこと」を知るのが大切な時代
藤野 英人 プロフィール

「当たり前」を疑う

都心に暮らす人の「当たり前」は、地方では「当たり前」ではないことも少なくありません。

たとえば都心部では、数千万円の住宅ローンを組み、子どもを小学生から塾に通わせて中学受験させるといった生活はごく身近なものでしょう。しかし日本全国に目を向ければ、数百万円で一戸建てが買えるところはいくらでもありますし、地方では高校まで公立校に進むのが一般的だったりもします。

この感覚は、都心部に生まれ育ち、地方に行く機会がめったにないという人にはなかなかわからないもののようです。

 

逆に、地方で生活していて都心に来る機会のない人にとっては、自分が暮らす地方にあるもの、そこでの生活が「当たり前」になります。このため地方に閉じこもっていると、自分たちの強みや弱み、都心の人たちがどんなところに魅力を感じるのかといったことに鈍感になりがちです。

わかりやすい例でいえば「値付けのズレ」はよく起こりがちです。

地方の人は、都心から来た人が500円以上のコーヒーを飲むということがわからなかったりします。しかし、もし自然豊かな環境の中におしゃれなカフェがあったら、都心から来た人はコーヒー1杯が500円以上でも喜んでそこでコーヒーを飲むでしょう。

また、私自身が富山県朝日町を拠点に地方創生に取り組む中で改めて気づいたのは、地方ではまだまだ和室が一般的だということです。朝日町で宿泊しようとすると民宿は和室ばかりで、ベッドを置いている部屋は見つかりません。

洋室とベッドに慣れた人たちからしたら、「たまにはいいけれど、しょっちゅう来るのはしんどいな」と思うかもしれません。ですが、畳に座り布団で寝るのが当たり前だと考えている人たちが、「ゲストハウスを作るのに、畳と布団では快適に過ごしてもらえないのではないか」と気づくのは難しいでしょう。