古くから中国やポルトガル、オランダなど諸外国との交易の場として栄え、長崎初のキリスト教伝来の地でもある、平戸。日本と海外の空気が混ざり合った独自の文化と美しい自然が共存するこの土地をデザイナー・スタイリストの大橋利枝子さんと一緒に巡りました。

海が近づけた外国文化、
茶の湯に傾倒したお殿様

初日、長崎空港から平戸へ向かう途中、佐世保のハンバーガーショップ〈ビッグマン〉で名物の元祖ベーコンエッグバーガーを。/ビッグマン京町本店 長崎県佐世保市上京町7-10 ☎0956-24-6382

九州西端の町、平戸。南北に細長い平戸島とその周辺に点在する約40の島々などからなる市域で、現在の人口は約3万人。小さな都市なのだが、実は日本でいち早く、国際貿易で栄えた土地だった。

「日本の最果ての小さな町に、そんなグローバルな時代があったなんてまったく知りませんでした」

と驚くスタイリストの大橋利枝子さん。昨年、ファッションブランド〈fruits of life〉をスタートし、デザイナーとしても活躍、多忙を極める大橋さんは、今回久しぶりに取れた休暇に、平戸が紡いだ歴史と豊かな自然を堪能する旅へ出た。

平戸の国際化は地理的要因が大きい。北は玄界灘、西は東シナ海に面し、古くから海上交通の要であり、16世紀末から17世紀初めにかけて本格的に貿易港として賑わう。ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリスなどから多くの外国人が来航し、町中では複数の外国語が飛び交っていた。そして彼らは世界各地の食べ物や文化も運んできたという。

1639年、東インド会社が建てた石造りの倉庫は日本初の洋風建築。2011年に復元され、資料館として歩み始めた。館内には平戸が日蘭貿易の拠点として繁栄した頃の資料を数多く展示している。/平戸オランダ商館 長崎県平戸市大久保町2477 ☎0950-26-0636

まずは、平戸の海外交流史を知るため〈平戸オランダ商館〉へ。ここはかつて、平戸に拠点を置いた東インド会社が膨大な交易品を保管するために建てた〈1639年築造倉庫〉を復元した建物で、現在は資料館になっている。当時の貿易資料や航海用具などを展示していて、平戸と海外のつながりがよくわかる。

〈平戸オランダ商館〉は外観がオランダの意匠建築、屋根は日本の建築技術が用いられた和洋折衷スタイル。
〈平戸オランダ商館〉にはオランダの画家、フェルメールの代表作《真珠の耳飾りの少女》になれるフォトスポットが。

「展示のキャプションに“松浦”とつく人名がたくさん出てくる。どうやら、平戸の海外交流にはこの松浦家が深く関わっているみたいですね」