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なぜ我々は「ピエロが怖い」と感じるのか…その知られざる理由

『ジョーカー』、『IT』の原点を探る
朝里 樹 プロフィール

人は「人の形をした人でないモノ」を恐れる

では最後に、それら悪役としてのピエロのイメージ以前に、なぜピエロは怖いのか、ということを考えてみたい。

多くの道化師は顔を白塗りにし、大きく表情を変えながら芸をする。それは素の表情や感情を隠し、その正体を不明確にし、不安を抱かせる。また、怒りや恐れではなく、笑いをもたらすためのおどけた姿のまま人を殺戮するというギャップが、より恐怖を増大させるのだろう。

 

また、人に近い姿でありながら人とは異質なもの、という要素も重要だ。平山夢明著『恐怖の構造』においては、「人間は人間の形をした人間でないモノ」を恐れる傾向にある、と記され、その一例としてピエロが挙げられている。

また先述した白塗りの顔は死人の顔の色であり、まるで死体が笑ったり泣いたりする様子を想起させるとも記されている。加えて同書ではフランス人形や市松人形といった人形もまた、人間が持つそういった恐怖の対象となることを説明している。

ピエロも市松人形も、白塗りの顔が人に恐怖感を与えている/Photo by iStock

人形もピエロも、本来は人を楽しませるための存在だ。しかしそれが人間に牙を向いた瞬間、人の形をしたモノは途端にただの怪物よりも不気味な存在と化すのだ。

人がピエロを恐れるのは、現実の事件や都市伝説、また創作の中で恐ろしいキャラクターとしてのピエロが人々の認識の中に醸造されていったとともに、ピエロという人の形をしながら人ではないものが、人間の本能的な恐怖を刺激するものだった。そしてそれらの要因が複合し、現在の恐怖の対象としてのピエロ、というイメージが作り上げられていったのではないだろうか。

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