「別宅」を借りる、と
「私がいくつになったと思ってるの?私はあんたの家政婦じゃないんだよ!?」
妻はそうまくし立ててきたそうです。
これを機に洋介さんは妻と一緒には寝室に入らず、リビングのソファーで就寝するように。結局、一つ屋根の下に住んでいるのに、お互いがお互いを避けて通る「家庭内別居」の状態に陥ったのですが、このようなストレスフルな環境は心を蝕んでいきます。
通販で購入した洋服や生活雑貨を山積みにしたり、自室のパソコンで仕事もせずネットゲームに夢中になったり、挙句の果てには朝になっても起床せずに布団に包まっていたり……妻のおかしな行動が日に日にエスカレートしていったのです。
こうして家庭のなかで完全に居場所を失った妻は結婚7年目には「仕事に集中したいから」と、自宅とは別にワンルームを借りるように。仕事場は自宅にせよ別宅にせよ、平日に洋介さんの気配を感じるのは夜だけです。
どちらに居ても同じように思えますが、妻が別宅を借りたのは週末のためでした。
週末に洋介さんと居合わせるのが気まずかったのでしょう。土曜の早朝には自宅を出て、別宅へ移るように。こうして洋介さんが起床すると「妻は不在」という寂しい朝をむかえるようになったのです。
妻の夫嫌いは徹底していました。そして離婚につながる致命的なトラブルが起こったのはそんな矢先でした。