ベルリンの壁崩壊から30年、「東西ドイツ統一」は夢のままなのか

11月9日の「熱狂」と期待外れの現状
川口 マーン 惠美 プロフィール

先日、旧東独のライプツィヒでタクシーに乗って、年配のドライバーと四方山話をした。ライプツィヒはドイツの文化、学問、商業など、すべての中心であった凄い町だ。過去の繁栄は、町を歩いているだけでも随所に感じられる。

「素晴らしい町ですね」と、その感想を述べると、ライプツィヒで生まれて育ったというそのドライバーは上機嫌になって、いろいろな話をしてくれた。

 

ただ、「壁が落ちて、もうすぐ30年。当時、月曜デモには参加したのですか?」と聞いた途端、突然、トーンが落ちた。あの時の熱狂がむなしく感じられるのか、「でも、今のこの惨状ではね」と、言葉が少なくなった。期待外れの現状なのだ。

昨今は、旧東ドイツにネオナチ的な思想が根付きつつあるなどという非難さえ広がっている。あたかも、東の人間には民主主義が身の丈に合わないかのような言われ方なので、東の人たちの憤りはよくわかる。西の人々に対する失望や反感は、最近、とみに膨らんできているように感じる。

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私事を申し上げると、9月、長年住んだシュトゥットガルトからライプツィヒに引っ越した。ライプツィヒに住んでまだ2ヵ月足らずだが、今まで、37年もドイツにいながら、東についてあまりにも知らなかったとつくづく感じる。私の視点は、多くが「西の視点」であったかもしれない。

そして、今、私は、「東」にかなり魅せられている。言葉から、気質まで、あらゆるところが違う。これも、地方色豊かなドイツならではのことだろう。

これからは、ライプツィヒからの定点観測で、さらにディープなドイツ事情をお伝えできればと思う。引き続きよろしくお願いいたします。