文在寅、安倍首相に突如として「すり寄り」日本はどう対応すべきか

慌てる韓国に合わせる必要はない
長谷川 幸洋 プロフィール

さらに、天皇(現・上皇)侮辱発言をした韓国の文喜相(ムン・ヒサン)国会議長は4日、東京で開かれた20カ国・地域(G20)国会議長会議で訪日し「日韓両国の企業と国民から寄付を募って、元徴用工に対する補償に充てる」という案(1+1+アルファ)を提案した。

一連の流れを見れば、文政権が日本との関係改善に動き始めたのは明らかだ。国際会議の控室で、いわば強引に着席を求めて安倍首相との直接接触を図ったあたりは、焦りさえ感じられる。「通常の外交的手続きを踏んでいる場合ではない」という思いがにじみ出ている。

 

高まる退陣要求、経済の落ち込み

文政権はなぜ、突如として日本にすり寄ってきたのか。

背景には、まず政権支持率の低下がある。

10月3日に主催者発表で「300万人」が参加したとされる反・文在寅政権の集会が開かれて以降、政権批判の世論が高まった。チョ・グク法相が辞任を発表すると、動きはさらに加速し、韓国ギャラップの世論調査だと、大統領の支持率が39%と初めて40%台を割り込んだ。

これまで政権を支持していた新聞社では、若手記者らが編集幹部の退陣を求めて「反乱」を起こした。大統領府の前では、軍OBや予備役が連日、座り込みで大統領の退陣を求めている。いずれも、これまでは考えられなかった事態だ。

加えて、経済の落ち込みが激しい。

韓国最大の企業であるサムスン電子の7〜9月期の営業利益は前年同期比で56%も落ち込んだ。中央銀行である韓国銀行は10月16日、世界経済の減速と半導体市況の低迷を理由に、政策金利を0.25%引き下げている。だが、この程度の対応では、ほとんど焼け石に水だ。

政権は「就業率が増加している」と唱えている。だが、政府や地方自治体が失業した高齢者を雇って、道路補修や森林整備など、特段の技術や経験がいらない短期の単純労働をする「公共勤労」事業の効果が大きく、実際は過大宣伝と言っていい。