2011.06.09(Thu) 内藤 忍

「『ストレスの雨』をやりすごすには、他人の傘を借りる柔軟さが大切です」

河合薫さん(健康社会学者)に聞く「食とストレス」 Vol.3

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河合: そうですね。また、ストレス対処力が高い人は、意外と素直なんです。独りよがりにならない。思い込みって傘選びの妨げになるんですよね。さっき申し上げたように、他者から「傘」を素直に借りられて、心と心の距離感を縮めていくのがうまい人はストレスに強いんです。

 自分なりの傘を持っていることは重要ですが、ストレスが予想外に大きいと、自分の傘だけではどうにもならない。そのとき、こんなときはあの人に「傘」を借りようと思える人が、たった一人でもいることが大事なんです。実際、傘を借りなくても、いつか最終的に困ったときは、あの人のところへ行けばいいやと思える存在の人がいると、それだけで踏ん張れる。

内藤: ストレスを感じていることに気づかないほど、がむしゃらにがんばってしまう場合もありますが。気がついたら病気になっていたとか。

河合: がむしゃらにがんばりすぎて、ストレスの雨に濡れていることさえ気づかないとき、その人の様子が変だと気づいてくれる他者がいることが大事なんです。「おい、おまえ、大丈夫か?」と、「傘」を差し出してくれる人がいれば、ストレス雨にびしょ濡れにならずにすむ。

内藤: 察してくれたり、心配してくれる人がいるということですね。

河合: 自分に自信があって、目的意識がはっきりしていて、ポジティブシンキングな人は、自分だけの傘を使って、まわりの傘を滅多に使わないから、ある日ポキンと折れやすく弱い。固い強さなんです。反対に、ふだんから他人の傘を借りるのが上手な人こそ、強く生きられる。しなやかな強さですね。

内藤: 人に素直に甘えられる人は、しなやかななんでしょうね。柳みたいな、ふにゃっとしたのがいいんですね。

河合: そう。しなやかなほうがいいんですよ。

内藤: ある知り合いの女性の話ですが、仕事ができて、頭がキレて、完全無欠の「強い女」という印象なのに、震災以来、何かとあったらしく、フェイスブックで弱音をはいているんです。

河合: 「はがね」のように生きている人ほど弱いものなんですよ。

内藤: ふだんから「私ダメなんです」って言えばいいんでしょうかね。いつもスイッチ入っている印象でした。気を抜いていないんです。

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(ないとう・しのぶ) 株式会社マネックス・ユニバーシティ代表取締役社長。
1986年東京大学経済学部卒業。91年、MITスローン・スクール・オブ・マネジメント卒業(MBA)。住友信託銀行、シュローダー投信投資顧問株式会社、マネックス証券などを経て2005年11月より現職。「日経マネー」などの雑誌での連載コラムや、テレビ、ラジオのコメンテーターとしても活躍。また、早稲田大学オープンカレッジ、丸の内朝大学をはじめとするマネーセミナーや講演活動も行う。主な著書に10万部を超えるベストセラーとなった『内藤忍の資産設計塾』(自由国民社)シリーズのほか、『60歳までに1億円つくる術』(幻冬舎)『初心者は株を買うな!』(日本経済新聞社)、『内藤忍の「好き」を極める仕事術』(講談社)など多数。


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