田代まさし「覚せい剤で再逮捕」…薬物依存症の治療は失敗だったのか

まだ薬物との闘いに負けたわけではない
原田 隆之 プロフィール

ラプスから学べること

では、今回田代さんのラプスの原因は何だったのだろうか。

想像でしかないが、先ほどの啓発活動のビデオを見ると、出所してまだ1年足らずの時期であることがわかる。また、最近ますますメディアへの露出が増えてきたことも、私は少なからず心配していた。

もちろん、法務省に招かれて講演をしたり、テレビの現場に戻ったりすることは、本人の自尊心の回復にもつながっただろうし、やりがいを再び見つけることは断薬を続けるモチベーションにもなる。

その一方で、これらの活動が大きなストレスやプレッシャーにはなっていなかっただろうか。「絶対に失敗はできない」という焦りにはつながっていなかっただろうか。

 

断薬を続けるなかで、仕事に復帰したり、元の活動を再開することは重要な目標の1つではある。しかし、薬物依存症の治療は、何かの片手間にできるほど生易しいものではない。社会に向けて啓発活動することは、素晴らしいことであるが、やはりまずは自分の治療と回復を優先すべきであったことは間違いない。

しかも田代さんの場合、同じく活動再開が報じられた清原さんなどと比べると、依存症の重症度がはるかに重いことは間違いない。薬物使用時期が長く、何度も逮捕されてもやめられず、しかも何種類もの薬物を乱用していたことなどから、それは容易に推測できる。

したがって、田代さんの話術や才能、知名度を頼りに、啓発活動などのイベントに彼を多用しすぎたのではないか、彼に頼るにしても時期が早すぎたのではないか、などという点について、周囲にいた人々は今一度考えてみる必要があるだろう。