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IQよりも将来への影響が大きい…「非認知スキル」とは何か?

発達心理学の最新知見から
本日から発売の森口佑介氏著『自分をコントロールする力:非認知スキルの心理学』(講談社現代新書)。本日はその「はじめに」を特別公開。現在大注目、将来の成功や健康を左右する「非認知スキル」のエッセンスとは?

虹を見たかったら……

「虹を見たかったら、雨をがまんしなくちゃね」(ドリー・パートン)

私たちが大きな目標を達成するためには、さまざまな困難や誘惑を乗り越えなくてはなりません。決して容易なことではありませんが、その障害が大きければ大きいほど、雨が激しければ激しいほど、その後に見られる虹は美しいでしょう。

志望校に合格するために、ゲームをがまんして勉強に励む受験生。スポーツで勝利を掴むために、あらゆる誘惑に抵抗して研鑽を積むアスリート。会社を興すために、プライベートの時間を犠牲にして仕事に打ち込む起業家。そのあり方はさまざまですが、自分を律し、未来を信じ、目標に向かう人の姿は尊いものです。

虹と雨の取り合わせは、その美しさのせいでしょう、さまざまな著名人が同じような言葉を残しています。

たとえば、ジャズ歌手であるノラ・ジョーンズ氏は、ドリー・パートン氏の言葉とほぼ同じタイトルの曲(If You Want The Rainbow(You Must Have The Rain))を発表していますし、作家のジョン・グリーン氏原作の映画『きっと、星のせいじゃない』のなかでも同じような表現が使われています。

彼女らのような成功者にとって、将来の目標のために、目の前の困難や誘惑を乗り越える力は、必須なのでしょう。

 

「非認知スキル」とは?

このような目標のために自分をコントロールする力は、いわゆる「頭の良さ」とは違ったタイプの能力です。

頭の良さとは、どれだけ知識を持っているのか、どれだけ速く問題を解けるのか、与えられた情報からどれだけ推測することができるのか、などを指します。このような頭の良さは、専門的には「認知的スキル」と呼ばれます。知能指数(IQ)は、認知的スキルの典型的な例です。

一方、目標のために自分をコントロールする力は、頭の良さとは直接的に関係しません。認知的スキルとは異なる能力という意味で、「非認知スキル」と呼ばれます。「社会情緒的スキル」とも言います。

非認知スキルには、自分をコントロールする力の他に、忍耐力、自信、真面目さ、社交性など、さまざまなスキルを含みます