人間を審査するAIの登場で「不正受給」はなくなるかもしれない

だが、それは本当に歓迎すべきなのか
小林 啓倫 プロフィール

AI政治は歓迎すべきか

古代ギリシャの哲学者プラトンは、民主政から衆愚政治が生まれてしまうリスクに対して、「哲人政治」という概念を唱えた。私心がなく、公平な判断ができる「哲人」を王として統治を行わせることで、優れた政治が実現できると考えたのである。プラトンは実際に「哲人王」となる人物を育てようとしたが、この試みは失敗に終わり、哲人政治も実現されることはなかった。

 

しかし高度なAIを開発し、それに「哲人王」のような役割を負わせることができたら? 機械ゆえに私心がなく、教えられた通りの公平な判断ができるAIは、プラトンが夢見た哲人政治を現実のものとするかもしれない。

もちろん中国で起きたような失敗例も生まれるだろう。しかし民主主義もさまざまな試行錯誤を経て、数百年かけていまの姿になった。AIに社会のすべてを支配されないまでも、統治の一部を肩代わりしてもらう「AI政治」は、これからさまざまな形で検討され、普及するのではないだろうか。