ボードゲーム「カタン」がスマホARになって数学者の僕が考えたこと

第2のIngress?
安東 雅訓 プロフィール

さて、上記のルールを理解すると、相手の行動に対して違う選択肢をとることがより良い結果につながることが分かる。相手が避けないなら自分が避けた方がましだし、相手が避けるなら自分は避けずに度胸を示したい。チキンゲームの面白い点は、普通のゲームとは異なり、自分の手をバラしてしまうことが有利につながる所だ。自分は絶対に避けないということを相手に伝えることができれば、相手は少しでもましな結果にするためには避けるしかなくなってしまう。

どうだろうか。相手の上手い下手やプレイスタイルだけでなく、性格まで考えてゲーム戦略に組み込むというのは、交渉が重要なカタンというゲームならではでないかと思う。

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カタンからは卒業できない

大学に就職し、モラトリアム期間とともにカタンも卒業したかに思えたが、さて我が研究室を見渡すと本棚にはしっかりとカタンが陣取っている。今は非売品となっているカプコン製のポータブルをジーピー社の携帯キャリー版ケースに入れた自家製ハイブリッド版だ。そのうちにスタンダード版や拡張版も導入するつもりでいる。

飾りで置いてあるわけではなく、前の職場では学生が質問に来るよりも遊びに来る方が多かったくらいだ。数学よりはボードゲームの方が好きだという大半の学生とのコミュニケーションを取るために機能していたし、ルール説明をすることや、ルールを理解してどうやって勝てるかを考えることは、学生側にとっても頭の体操として一定の効果はあったと思う(昨今のビデオゲーム説明書の内容の薄さよ!)。当時の学生達の「先生の印象」としては、アロハシャツの次くらいには残っているのではないだろうか。