私が文化庁の委員を辞めた理由

あいトリ「補助金不交付」の問題点
鷲田 めるろ プロフィール

額面通りに受け取れない、文化庁の説明

文化庁より愛知県にあいちトリエンナーレに関わる補助金の全額不交付が通知された9月26日、私はこの二つの意義ある事業の委員を辞任することを申し出た。非公表の外部審査委員については当日受理され、アートプラットフォーム事業は、翌27日文化庁を訪れて担当者と直接話し、辞任が承諾された。

補助金不交付の理由を、文化庁は申請者の手続き上の不備と説明している。しかし、この説明を額面通りに受け取ることはできない。一度採択された補助金を不交付とした前例はない。

 

その上、文化庁は不交付の決定にあたり、採択を審査した外部審査員に諮らなかったばかりか、その議事録も存在しないことがその後明らかになっており、相当恣意的な判断が働いたと考えざるを得ない。実際には《平和の少女像》を展示したことが政府の意向に反したことが理由であろう。

この像は、1992年以降毎週水曜日に韓国の日本大使館前で行われたデモが1000回になったことを記念するために2011年にその地に建てられた碑である。日本政府は設置直後から韓国政府にこの像の撤去を求めてきた。

韓国の日本大使館前の少女像

トリエンナーレで展示したのは、縮小した小型のブロンズ像と、制作の一環で作られたFRP(繊維強化プラスチック)製の原型である。「表現の不自由展・その後」の中の一つとして展示したが、この企画は、過去に何らかの理由によって展示できなかった作品を集め、その理由とともに展示することによって、表現の自由はどこまで認められるべきかという境界線について鑑賞者が考える機会をつくるという趣旨のものであった。