“臭い人”はなぜ責められねばならないのか~体臭と病気の真実

キーワードは「大腸」
木原 洋美 プロフィール

そこで関根氏らは、既に明らかになっている、「疲労臭の主成分アンモニアの血中濃度が、腸内細菌の改善によって減らせる」ことに着目した。ラクチュロース(牛乳に含まれる乳糖を原料として作られる二糖類。大腸に到達後、ビフィズス菌の餌になる)の摂取試験を行い、「ビフィズス菌数の増加に伴う皮膚からのアンモニア放散量の減少を示唆した」ことから、腸内環境の改善で疲労臭が軽減できることを世界で初めて見いだしたという。

近年の研究によって、腸内環境と全身の健康状態、さらには脳や神経の状態との関係も明らかになっている。同日、関根教授の前に講演した帝京平成大学健康メディカル学部の松井輝明教授)は「大腸は、その役割の重要性から、まさに“健康の要”といっても過言ではない」と強調した。

昔から、健康にとって重要な臓器を、肝心要、あるいは肝腎要というが、これからは、「肝腸要」も加えるべきかもしれない。

photo by iStock
 

「嗅診(きゅうしん)」という発想

実は体臭で病気を知るという発想は、決して新しくはない。その昔、名医は患者が診察室に入ってくると、その患者の発するニオイで病気を言い当てたという。東洋医学における「臭いを嗅いで診る=嗅診」だ。近年、臨床検査技術が急速に開発されたため、医師が自らの五感や六感を頼りに検査する、聴診、触診、打診、嗅診といった手法の重要性はだいぶ薄れてしまったが、病気と体臭の関係をめぐる研究は、地道に進められている。(余談だが、聴診にも、200年ぶりに“超聴診器”誕生という革新が起きている)。

たとえば重篤な糖尿病患者の呼気には「アセトン」、腎不全患者や肝臓疾患では「硫黄化合物」など、病気とニオイ成分との関係は、医師の間ではよく知られていることのようだ。