“臭い人”はなぜ責められねばならないのか~体臭と病気の真実

キーワードは「大腸」
木原 洋美 プロフィール

皮膚からガスが放出される

化粧品メーカーである資生堂は長年に渡って、調香師による魅力的な香りの創出だけでなく、臭気判定士による体臭の研究を行ってきた。昨年の結果は、2017年に発表した“ノネナール(1999年に「加齢臭」の原因物質として同社が発見)が「皮膚ガス」として皮膚表面から放出されている”との知見に続く、皮膚ガスについての研究成果であるという。

職場や学校、あるいは家庭で、叱責されたり、いじめを受けたり、過大なプレッシャーをかけられたりしているとき、我々の身体からはじっとりと「STチオジメタン」が発生しているのである。

部下や後輩、我が子を指導するときは、鼻を利かせるようにしたい。仮に、相手のためと思って叱っていたとしても、腐った玉ねぎ臭がしてきたら、愛は伝わっていない。別の指導法を考えるべきなのだ。

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疲労臭は「大腸劣化」のサイン

さらにもう一つ、「疲労臭」についても新しいことが分かってきた。疲労臭は、おしっこのようなツンとしたアンモニアの臭いがする。ニオイの原因はこれまで、疲れによって腎臓や肝臓の機能が低下し、健康な状態であれば体内で分解されるはずのアンモニアが分解しきれずに体内に残ってしまい、全身の毛穴から、皮膚ガスとして漏れ出てくるせいとされてきた。しかし実は「大腸劣化」の影響が大きいらしい。

発表したのは東海大学理学部化学科の関根嘉香教授。2019年9月11日、「大腸劣化」対策委員会が主催するメディアセミナーで、「腸内細菌叢と体臭の関係について」について講演し、「疲労臭は腸内環境を改善することで軽減できる」と語った。

関根氏によれば、人間が放出する皮膚ガスには、判明しているだけでも300を超える種類があり、その放散経路は、「表面反応由来」「皮膚腺由来」「血液由来」の3経路に分けられる。「加齢臭」は皮脂の酸化を原因とする表面反応由来なので、洗って落とすことができる。しかし、「疲労臭」は血液由来であり、主に大腸内で発生するため、洗っても落とすことができない。