3.11が変えたライフスタイルとファッション 

2011年、すでに女性たちの間に芽生えていた健康志向、ナチュラル志向をさらに加速させる出来事が起こった。東日本大震災である。

一見、筋肉女子とは無関係なように思えるが、やはり震災が人々の意識に与えた影響は大きかった。それはライフスタイルやファッションの分野にも顕著に表れている。端的に言えば、震災以前・以後でとりわけ女性たちのライフスタイルやファッションは大きく変化したのだ。

例えば30代主婦向けファッション誌『VERY』では、震災を契機に今までにない理想の読者像「ミセスオーガニックさん」が登場するようになった。

「ミセスオーガニックさん」とはその名の通り、オーガニックへの関心が高く、「オシャレは都会的でも、気持ちはオーガニック志向で素材や心地よさ、丁寧な暮らしを大切にするママたちのこと」(『VERY』2011年5月号)である。より具体的には、「リネンやコットンなど、天然素材の服が好き」「スーパーでは積極的に有機野菜、無農薬野菜を選ぶようにしている」「自家用車はプリウス」「フェアトレードの商品を意識して買い物している」といったライフスタイルを送る人たちである。

このように、震災直後に発売された号では、衣食住のすべてにおいてオーガニックなものを求める意識の高いライフスタイルを送ることが推奨されており、『VERY』流に言うならば「オシャレな人ほど、今、気持ちはオーガニック!」ということになる。

とはいえ、ついこの間までのライフスタイルとは正反対に思えるオーガニック志向になぜ、『VERY』読者が行きついたのか。なぜ、かつての彼女たちの高級ブランドやシャンパンへのこだわりが、オーガニックコットンやビオワインに向けられるようになったのか。

ひとつには、震災という出来事を経て、もともと『VERY』読者の中に芽生えていた環境問題への関心やエコ意識が、いっそう高まったからだと言えるだろう。もちろん、震災直後でもファッション誌を存続させていくためには、ラグジュアリーな路線よりも、地球環境や自らの健康にも配慮したオーガニック路線の方がサステナブルだったということもある。