ここ数年、モデルの中村アンやROLA、泉里香など、筋肉美を誇示する女性芸能人をメディアで多く見かけるようになった。彼女たちに倣って、パーソナルトレーナーつきのジムに通い、筋トレをする女性も少なくない。

いったい私たちは、いつから筋トレに魅せられたのか。筋トレにハマり、世間から「筋肉女子」や「腹筋女子」と呼ばれる女性たちを社会学的視点から取り上げた本、『筋肉女子』の著者である米澤泉氏が考察する。

「筋肉女子」はいつから登場したのか

今年の6月、雑誌『ターザン』の表紙にモデルの中村アンが登場した。誌名が表すように、筋トレのバイブル的な雑誌のカバーを人気ファッションモデルが飾ったのである。もちろん中村アンは、いつにも増して美しい筋肉がついたボディを披露していた。

『ターザン』に中村アン。本人も筋トレを始めて以来、『ターザン』の表紙を飾るのが目標だったと述べているが、これはある意味、画期的な出来事だったのではないだろうか。なぜなら、モデルという女性が憧れる身体の持ち主が、筋肉を誇示しているのだから――モデルという流行にいちばん近い存在が服のように筋肉をまとっているのだから、数年前から盛り上がっている筋肉女子、腹筋女子ブームを象徴する一枚とも言えるだろう。

このように、女性たちが美しい筋肉を求めて筋トレに励むようになって久しいわけだが、そもそもいつ頃から女性たちは筋肉に魅了され始めたのだろうか。

「紀香バディ」から「走る女」へ

今から12年前の2007年に『紀香バディ!』(講談社)という本がベストセラーになった。コスメ、エステなどの美容情報からエクササイズ、食事まで、女優・藤原紀香のナイスバディの秘訣を余すところなく公開した同書は、女性たちの絶大な支持を集めたのであった。

紀香は趣味が「女磨き」で目標がルパン三世のヒロイン・峰不二子だと公言するぐらい、美しい曲線を描く「エレガンス・カーヴィー」なカラダの持ち主だ。そんな紀香バディが羨望の的だったということは、いわゆるバストとヒップにボリュームがある女らしい身体に女性たちはまだ憧れていたということになる。

ところが、翌年には女性たちの身体美の新たな指標が登場する。