漫画家・かわぐちかいじ衝撃告白「長期休載の理由は、がんでした」

本日発売の「モーニング」で連載復帰
かわぐち かいじ

がんになったのが私でよかった

── 復帰されてから、仕事への考え方は変わりましたか?

「死を意識したことで、自分では『仏のかわぐち』になったと思っていたんだけど……実際には前よりも厳しくなりました(苦笑)。以前は許していたスタッフのミスが許せないんですよ。なぜかと考えてみると、自分の体力に限界があると気づいたからでしょうね。体力って無尽蔵だと思っていたんです。

夜遅くまで打ち合わせしても、朝5時には起きて、散歩してコーヒーで一服すれば仕事、というタイプだったのに、もうそうは行かないとわかった。時間も限られてくるという実感があったから、一瞬一瞬を大事にしないといけない、という意識が強まり、仕事にも一層厳しくなった」

 

── 11月7日、ついにモーニングで『サガラ』が連載再開です。ビッグコミックでは『空母いぶき』も再開されます。いきなり連載2本と、ハードな日々が帰ってきますね。

「毎週締切がやってくるなんて、この仕事でしか味わえないことですから、ありがたいです。このタイミングでの再開が決まったのは9月半ばのことで、その頃には、連載再開の見通しがたって、両誌の編集長からゴーサインが出ました。モーニングとビッグですり合わせることもなく、自然にこの時期の再開が決まったみたいで。とにかく仕事があるというのは嬉しいことです。

正直にいうと、もし病気の詳細がわかったとき、もしくは治療がうまくいかなくて『余命いくばくもない』と診断されたとしたら、『考えないといけないな』と思いました。つまりいま描いている話を、命が続く限り、命が尽きるまでできるところまで描いて、走り続けたあと倒れなければいけない、ということです。自分にとって仕事とは、漫画とは命がけのもの。改めてそう確認しましたね。

── お元気で、かわぐち先生の漫画の続きを読めることが本当に嬉しいです。

「最後にひとついうと、がんになったのが私でよかった。カミさんだったら、不安で仕方がなかったろうと思います。むしろ仕事にもより大きな影響が出ていたでしょうね。そばにいてくれる人間のことのほうが、自分よりも大事なものですよ。歳も歳だし、互いのこれからの体のことを意識するきっかけにもなりました。

病気は、体力が、人生が有限だと悟る機会をくれました。食道がんという病気は、場所が場所ですから油断は禁物ということで、3ヵ月に1回は経過を見ないといけませんが、いまは好調です。『サガラ』ではこれまで通り、原作者の真刈信二さんが作り上げたハードかつデリケートな、スケールの大きな物語を描き続けていきますので、楽しみにして下さい」