「北朝鮮=飢餓の国」という図式を疑うべきこれだけの理由

稲刈り真っ只中の農村を回ってみたら
伊藤 孝司 プロフィール

仮装して踊る集団

青空が見えてきたので、急いでホテルへ戻る。バーベキューの支度をしてもらい、牡丹峰(モランボン)公園へ向かう。

ここは市内中心部に位置する小高い丘で、行楽シーズンには山火事のようにバーベキューの煙が立ち上る。

案内員たちと肉を焼き始めたものの、私は遠くから聞こえてくるカラオケの音が気になって仕方がなかった。

食事を中断してそこへ行ってみると、いたる所に踊りの輪ができている。その中には、派手な仮装をして踊っている年配の女性たちがいた。それを取り囲むように、外国人も混じった人だかりができているのだ。

 

女性たちはインド人や中国人、少年団の服装をするなど仮装に工夫を凝らしている。インド人に扮している女性の“髭”は、黒いビニール袋をちぎったものだ。

女性たちに話を聞くと、「住んでいる場所はまちまちだが、ときどき集まって踊っている」と言う。人々に踊りを見てもらうことを生きがいにしているようだ。

公園を奥へ進むと、復元した高麗(コリョ)時代の遺跡でたくさんの人が踊っていた。この場で踊るためだけに作ったと思われるド派手なチマチョゴリを着た女性たちもいる。その様子を200人くらいの人が、斜面に座って楽しそうにいつまでも見ていた。

この国を初めて訪れた1992年にも、こうした光景はあったが、その当時と比べて今は、人々の服装がカラフルでおしゃれになった。そして決定的に異なるのは、スマホで写真や動画の撮影をするのが人々の日常的な行為になっていることだ。