1年半を4ヵ月で習得

それでも、すぐに歩けるわけではない。

「ある意味では宙に浮いているわけですし、足が長いと折れちゃいがちなんです。片足は健足という方も多い中で、ぼくは両足がないんですよね。歩いたことのあるぼくたちでも簡単ではないので、いわんや歩いたことのなかった乙武さんは怖いはずだと思いますね。バランスを取るのも大変だと思います」

訓練は毎日義足の訓練1時間、義手の訓練が1時間だった。義肢装具士と、PT(Physical Therapy=理学療法。理学療法士のこともこう呼ぶ)と3人での訓練が続いた。

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「1日って24時間じゃないですか。訓練の時間短くない? と思って、ひとりで歩く練習をしたいと思いました。ただ、そのためには許可をもらわないといけないんですね。だからPTの方に見てもらって、病院から駅までの往復ができるのかなどいろんなテストをしました。

許可が出たら、『自由になった!』という感じでしたね。それから万歩計をつけたんですよ。1日1万歩歩いたりしました。もちろん、たくさん転びました。転ぶと、ソケット(断端と呼ばれる切断面に義足をはめる部分)が割れるので、何度も直しては転んで、を繰り返しました。義足に慣れよう、自分の足にしていこうって」

そうして、異例のスピードで義足を「自分の足」にしていった山田さんは、通常1年~1年半と言われている中、なんと入院からわずか4ヵ月弱でひとりでの外出も許されるようになった。自分の意思で、地元の友人たちとご飯にも行った。2月にはもう退院しても大丈夫な状態になった。

親しい友人たちの結婚式で 写真提供/山田千紘

「それでも退院したのは3月なんです。実は次のステップとして、職業訓練校の前に車の免許取ろうとしていて。通勤電車に不安があったので、新しく社会人になるために車が必要だろうと考えました。色々見てみると、障害者の訓練生としてモニターのようにして無料で免許を取れる機会があり、そこに応募して選んでもらいました。それが4月から6月までだったので、3月まで入院していたんです」