日本企業はバカか…! いまこそ「終身雇用」が大切である決定的理由

ただし、徹底した完全実力も導入すべし
大原 浩 プロフィール

ストックオプションは株主の財布に手を突っ込む行為

とても残念なことに、世の中の経営者のほとんどは「事前に報酬を決めて、成果に応じて受け取る」方式を採用していない。

自身の経営手腕に自信があれば「私はこれこれの成果を上げるから、もし実現したらこれだけの報酬が欲しい」と、正々堂々と宣言し株主の承認を得ればよいだけのことである。

ところが、例えば日産自動車のゴーン氏のように自分の収入が分不相応だと思う人間はごまかそうとする。株主から「不当に報酬が高い」と言われると思うから、悪知恵の限りを尽くして小細工するのだ。

特にストックオプションについてバフェットは、「株主の懐の財布に手を突っ込む行為」=「泥棒」であるとして厳しく非難し、米国で大論争になったことがある。

 

バフェットがそこまで非難する理由を、極めて簡単に述べれば、

1. 株主(投資家)が株式を購入するときには必ず代金を支払うのに、その会社の役員や従業員であるという理由だけで株式(ストックオプション)をただでもらうのはおかしい。
2. 株価と業績が必ずしも連動するわけではない。バブルなどで、その会社の業績が悪いのにも関わらず、株価が急騰した時に、1円も出資せずに役員や従業員が儲けるのはおかしい
3. ストックオプションを設定すると、目先の決算を良くして株価を上げようとする強い動機が生じ、設備投資や従業員の教育投資などを後回しにして今期限りの利益を上げ、会社の将来を危うくする。
4. 実際には、ストックオプションの費用は、経営者や従業員に対するボーナスと同じように、株主の負担(会社の利益から差し引かれる)であるのにその事実が会計上明示されていない。

4については、バフェットが厳しく糾弾したために、米国では決算書に表記されることが多くなった。しかし、そのような手間をかけなくても、目標と報酬金額を株主に明示し現金でボーナスを受け取ればよいだけの話である。

ストックオプションがいまだに流行している現実を見ると、経営者たちさえ「実力主義」から無縁であり、ましてや一般従業員への「実力主義」の導入など夢でしかないとも感じる……。

しかし、少なくともバフェットは「終身雇用の実力主義」をやり遂げているのだ。日本企業の経営者たちの奮起を期待したい。