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ブレグジットが「前進」するウラで、次はEUが「崩壊」してきたワケ

ジョンソン首相の主張は正しい

ようやく第一歩を踏み出した

英議会上院は10月30日、EU離脱を巡る民意を問うため、12月12日に総選挙を前倒しで実施する法案を承認した。

これにより、法案は上下院双方の賛成を得たため、エリザベス女王の裁可を経て正式に成立した。

これまで3回も延期された2020年1月末の離脱期限を控えた中で行われる総選挙である。

2016年6月に、英国がEUを離脱すべきかどうかを決めるための国民投票が実施されてから3年以上にわたって混乱を極めた、英国内の状況を正常化できるかどうかが注目される。

 

ジョンソン首相の手腕は素晴らしい

もちろん、「10月末の秩序なき離脱も辞さない」と主張していたジョンソン首相にとっては後退と見えないこともない。

しかし、野党を中心とした議会の徹底抗戦に合い、「離脱(交渉)延期をEUに申請すること」まで法律で強制される中で、ジョンソン氏が所属する保守党が優勢と判断される総選挙を行えることになったのは、彼の勝利であるといえよう。

これも、ジョンソン氏の強烈な目的達成意識と粘りがもたらした果実である。

第2次世界大戦時の英国の宰相ウィンストン・チャーチルとボリス・ジョンソンは非常によく似ていると思う。

チャーチルの前任者であるネヴィル・チェンバレンは、典型的な英国紳士であったが、ナチス・ドイツに友好的な態度をとり続け、英国を国家存亡の危機に陥れた。逆に、チャーチルは、その粗暴で傍若無人な性格が災いして、冷や飯を食っていた。

しかし、国家存亡の危機になると、そのような「平時にはお荷物」になるような人材を担ぎ出して危機に対応するのが「英国の英知」であり、すばらしい伝統である。

ちなみに、チャーチルの功績は戦時中に限られていて、戦前も戦後も見るべきものはない。

ジョンソン氏はチャーチルほど粗暴ではないようだが、議会対応を見ているとかなりの「頑固者」であり、「石をも貫く」信念を持っていることがよくわかる。