37歳から不妊治療をして4年目になる今、台湾で卵子提供による治療を受け、つい先日出産した新垣りえさん。不妊治療を始めたこと、台湾のクリニックの長所、「血のつながり」についての葛藤、管理職としての不妊治療、そして妊孕力についてと、今まで5回にわたって自身の体験をありのままに綴ってくれました。

卵子提供による妊娠についてお伝えする集中連載の最終回となる今回は、自分の卵子での治療にのぞみながら、最終的に台湾で卵子提供を受けるという決断をさせたことは何だったのかについて伝えてもらいます。

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会社の同僚たちに妊娠を告げる

新垣さんのオフィスから見える台北101ビル 写真提供/新垣りえ

今年7月15日、会社の幹部会議で今月の優先経営事項を議論している際、お腹を内側からドカっと蹴られて、思わず発言途中に凍り付いてしまった。妊娠5ヵ月に入ってから胎動は感じはじめていたものの、ここまで衝撃の強い胎動は初めてで、妊娠6ヵ月に入った今日こそ幹部会のメンバーに妊娠していることを伝えようと思った。

既にここ数週間の私の服装や歩き方をみて、妊娠に気づいている幹部達がいることもアシスタントから聞いていたのだが、どう切り出すかを考えているうちにタイミングを逸してきたのである。私の幹部会には13名の部門長達が所属しており、そのうち9名が台湾人女性である。この日出席していた女性幹部達の顔を眺めながら、台湾人女性から提供してもらった卵子で出産したいと心が一気に動いた2月のある日を思い出していた。

治療希望者が卵子ドナーを選択する際、台湾の法律では病院がドナーの身元特定ができるような情報の提供をすることを禁じている。卵子ドナーを選択する際に病院側から共有される情報は、血液型・学歴・身長と大雑把な容姿のみである。容姿については病院スタッフが口頭で鼻の高低・二重かどうか、肌の色などを教えてくれるのみで、極めて限定的な情報となる。母親と似た容姿の子供を強く希望する場合は、病院側に母親となる治療希望者の写真を渡して、似ている容姿のドナーを探してもらうこともできるが、似ているかどうかの判断は病院スタッフに委ねるしかない。

我々夫婦は昨年11月半ばに東京でコウノトリ生殖医療センターの卵子提供説明会に参加した際に、併せてドナーマッチングの申し込みをした。説明会会場で、卵子ドナーについてどのような要望を出すかを夫と相談したのだが、血液型が私と同じB型であること以外に、学歴・身長・容姿などについては特に細かい要望を出す必要はないという結論に夫婦で至った。