イギリスは本当に疲れている…「EU離脱問題」の現在と未来

最も有力なシナリオはこれだ!
笠原 敏彦 プロフィール

保守党勝利のシナリオが最も有力

それではこのシナリオのどれが最も可能性が高いのか。

筆者は現時点では(1)の保守党勝利のシナリオが最も有力だと見ている。

各種世論調査では保守党が労働党に10%ポイント前後リードする結果が出ているが、イギリスの過去2回の総選挙(2015年と2017年)では世論調査の結果が大きく外れて想定外の結果となっており当てにならない。

加えて、今回は野党勢力や残留派有権者が「ジョンソン首相の離脱阻止」の一点で協力し、戦術的投票を展開する可能性が大きい。

 

その中で敢えて、筆者が保守党勝利のシナリオが最も有力と考える理由を以下に列挙する。

・ブレグジット問題をめぐる強硬派と穏健派に分裂していた保守党はジョンソン首相のリーダーシップの下で結束しつつある。

・一方で、労働党は三層に内部分裂したままだ。伝統的な支持層である労働者層、1990年代にブレア党首の下で新たに支持者となった中間層を中心にしたニューレーバー層、過激左派のコービン現党首の下で近年新たに支持者となった若者層である。

このうち、労働者層は離脱派、ニューレーバー層と若者層は残留派だ。

労働党はこうした支持者の離反を食い止めるため、ブレグジット問題では「関税同盟に残るなどの新たな合意をEUと結び、その合意案か残留かを国民投票に諮る」という中途半端な路線しか示せていない。

これは何も約束していないに等しいものだ。

“有権者がリンゴかナシのどちら(離脱か残留か)を選ぼうか考えているときに、労働党はバナナを差し出しているようなものだ”。

英BBC解説者のなんとも絶妙な例えである。