ハリウッドの風潮に風穴を開けたPlanBの作品

ハリウッドの投資家は白人男性がマジョリティだからこそ、メジャーな映画は白人男性が主役になることが多く、アカデミー賞などの大きな映画賞を有色人種の出演者やスタッフが獲得することはほとんどなかった。

そんななか、19世紀にアメリカ北部で誘拐されたアフリカ系アメリカ人が南部で奴隷にされしまった実話を映画化した『それでも夜は明ける』は、アフリカ系イギリス人のスティーブ・マックイーンが監督が、アフリカ系監督として初めてアカデミー賞作品賞を獲得した作品となった。

第86回アカデミー賞の会場にて。『それでも夜は明ける』のプロデューサー3人とスティーブ・マックイーン監督(右から2番目)と共に〔PHOTO〕Getty Images

また、その翌2014年、PlanBはマーティン・ルーサー・キング・Jr牧師が先導したデモを描いた『グローリー/明日への行進』を制作。アフリカ系女性エイヴァ・マリー・デュヴァーネイが共同脚本・監督した本作は、アフリカ系女性監督として初めてゴールデングローブ賞監督賞とアカデミー賞作品賞にノミネートされた。

「#OscarSoWhite」からの『ムーンライト』

この2作が白人至上主義のハリウッドに風穴を開けたかに見えたが、その次の年から2年連続でアカデミー賞にノミネートされたキャストが全員白人という現象が起きる。このことに抗議したハッシュタグ「#OscarSoWhite」はSNSで広く拡散された。

そんな世の中の気運を受けたか、2017年に大きな変化が起きた。アフリカ系アメリカ人バリー・ジェンキンスが脚本/監督し、ブラッド・ピットがエグゼクティブ・プロデューサーを務めた『ムーンライト』が、ゴールデングローブ賞で5部門にノミネートされて作品賞を受賞、アカデミー賞では8部門ノミネートされて作品賞、助演男優賞と脚色賞の3部門で受賞する快挙を成し遂げたのだ。

1980年代から90年代のマイアミに住むアフリカ系アメリカ人のゲイの少年を描いたこの作品は、PlanBが出資し、『ブリングリング』(2013)や『レディ・バード』(2017)などエッジの効いたインディーズ作品を発表し続けている映画会社「A24」が資金管理と世界配給を務め、両会社が共同で制作したものだ。