公開中の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』におけるキレッキレの演技でアカデミー賞助演男優賞へのノミネートが確実視されているブラッド・ピット。同時期に公開されている主演映画『アド・アストラ』における演技も高く評価されており、近年、俳優としての円熟味がさらに増している。

今後は俳優業よりもプロデュース業に注力するというブラピだが、「え、いつの間にブラピはプロデューサーになっていたの?」と思う人は少なくないかもしれない。

唯一のオスカー獲得はプロデューサーとして

アカデミー賞主演男優賞や助演男優賞に3回ノミネートされたことのあるブラピが単なるイケメン俳優ではなく、殺人鬼から宇宙飛行士まで演じることのできる演技派だということは皆さんもご存じだろう。しかし実は、プロデューサーとしても『マネーボール』(2012)、『それでも夜は明ける』(2013)、『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2016)の3作がアカデミー賞作品賞にノミネートされ、このうち、『それでも夜は明ける』は受賞に至っている。

興味深いことに、プロデューサーとしても俳優としてもブラピがオスカー・ノミネーションを果たしたのはそれぞれ3回だが、オスカーを獲ったのはプロデューサーとしてだけなのだ。

そんなブラピが自身の映画制作会社「PlanB エンターテイメント(以下、PlanB)」を立ち上げたのは2001年。以来、『トロイ』(2004)をはじめとするブラピ出演作品以外にも、クロエ・グレース・モレッツをスターにしたスーパーヒーロー映画『キック・アス』(2010)やジュリア・ロバーツ主演作『食べて、祈って、恋をして』(2010)などの話題作を制作してきたが、世界中から革新的な制作会社として注目されるきっかけとなったのが、アカデミー賞作品賞を受賞した『それでも夜は明ける』だった。

この作品の何か特別だったのか。その背景には、ハリウッドに潜む白人男性至上主義がある。