甚大な被害を起こした台風19号と千葉県豪雨。現在も被害者の数は増えている。被害に遭われた方々が一日も早く安心安全な生活を送れるように望んでやまない。

関東地域を直撃した台風で、「災害と避難」をはじめて現実のものと考えた方も少なくなかったのではないだろうか。誰にとっても、「防災意識は自分事なのだ」ということを認識することになったはずだ。2人のお子さんを育て、教育関係の取材も長く続けている島沢優子さんが、その日の体験と共に子どもと考えたい防災意識について寄稿してくれた。

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台風の日に娘と犬と3人

超大型の台風19号が関東に上陸した10月12日。
東京郊外に建つわが家は、私と19歳の娘、そして12歳の雌の老犬というオンナ3人だけだった。夫は静岡方面に出張。こちらも台風のため身動きが取れず宿泊先のホテルにいた。

前日には気象庁が最大級の警戒を呼び掛け、鉄道は運休を発表。いつもはグズグズしている私もさすがに、長編の原稿書きをいったん中断し昼にはスーパーへ。2日分の食糧と水、ガスボンベ、養生テープを買いに行ったが、生鮮食品以外のラーメンなどインスタント食品の棚は空っぽ。ペットボトルの水やお茶、ガスボンベや養生テープも売り切れ。いかにすごい台風がやって来るのかを実感した。

夜は娘が大量に作ってくれたポトフを食べ、ご飯を多めに炊き、お風呂の水もそのままにしておいた。

島沢さんのお嬢さんが作ってくれたポトフ。美味しそう! 写真提供/島沢優子

明けて12日は、朝から黙々と備える。水を水筒や洗ったペットボトルに入れ、サンルームのガラスに布テープを養生テープ代わりにして貼る。やり方はネットで学習した。玄関の植木鉢を中に入れ、自転車も車庫に隠し、ベランダの物干し竿を下す。雨戸のシャッターを閉め、寝室にだけ除湿器をかけた。

ネットで学んで布製のガムテープを張った 写真提供/島沢優子

貯蔵棚の奥から見つけたガスボンベ1本と卓上コンロ、ラジオに懐中電灯。そして、一応ろうそくを用意。垂直避難になったときのために、来月の納骨までうちで預かっている義父のお骨、通帳などの貴重品をいったん私の仕事場である3階に上げる。

いざとなったら、娘は徒歩2分の中学校に行かせるが、私に避難所へ行くという選択はなかった。なぜなら、わが家には犬がいるからだ。避難所にペットは連れていけない。家族同様の彼女を置いて逃げるわけにはいかない。マンションの5階に住む近くのママ友が「ワンコがいたら避難所には行けないよね。いざとなったら連絡を」と言ってくれたのがありがたかった。早めに決断して車でそのマンションまで行くことも考えた。

ただ、本音を言えば、「近くに大きな川があるわけではないし、このあたりは大丈夫だろう」という気持ちもあった。