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4歳の少女が天国の神様に手紙を書いたら「すごい返事」があった話

神さま、ワンちゃんをよろしく
橋爪 大三郎 プロフィール

子ども向けにアレンジされたキリスト教

この話は、キリスト教の考え方が下敷きになっている。でも、どこかの教会が教えるちゃんとしたキリスト教のストーリーではない。子ども向きにアレンジされている。あちこちで、ふつうのキリスト教をはみ出している。

第一に、「死んだら天国(Heaven)に行く」と考えるのが、ふつうのキリスト教でない。人間は死んだら、しばらく寝て(どこかで待機して)いて、終末の日にみんないちどに復活することになっている。そのあと神の審きを受け、赦された場合には天国ではなく「神の王国」に入る。プロテスタントでは特に、こう考える。

 

第二に、死んだらスピリット(霊)になる、というのもおかしい。返事の手紙には、スピリット(霊)だから、身体がない、ポケットもない、と書いてあった。でも、復活したイエスは、身体をそなえていた。父なる神にも目や顔が、つまり身体があるはずだ。

神の王国は、新しい身体を与えられてから、向かう場所である。神も人間も、身体をもって存在している。

第三に、ペットが天国に行く、というのもおかしい。復活するのは、人間だけ。ペットは動物だから、復活しない。天国にも行けない。世界の終わりのとき、ペットをはじめ動物も植物も、「生ゴミ」として片づけられてしまう。

このことを、大学の「宗教社会学」の講義で説明した。不服そうな学生がいた。「だってペットは、家族の一員なのに。」家族の一員だから天国に行くだろう、はごく最近の考え方だ。

というように、この話の流れは、教会で教えるふつうのキリスト教と微妙にずれている。けれども、教会の外で人びとが漠然と考えている、なんとなしのキリスト教のイメージには合っている。