そして撮影が始まった

撮影は、移設された東京都中央卸売市場のすぐ近くにある新豊洲ブリリアランニングスタジアムで行われた。全天候型の陸上競技用60メートルトラックに、パラアスリートのための義足開発ラボラトリーも併設された、2016年12月にオープンしたばかりの施設だ。半透明のフィルム膜で覆われたアーチ状の外観がその存在感を際立たせている。多くのパラアスリートもここを練習拠点にしていて、第3章で紹介した義肢装具士の沖野氏のランニング教室もここで開催されている。

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そんなすばらしいスタジアムを私の「デビュー戦」に選んでくれたことに感謝しつつ、午後1時半、私と北村はスタジアムに到着した。遠藤氏、沖野氏、小西氏、それから撮影スタッフなど、ぜんぶで10人のメンバーに迎えられた。

新豊洲Brilliaランニングスタジアムにて

小西氏はなんとこの日の朝5時までラボラトリーで作業を続け、「シュービル オトタケデル」の外装デザインを完成させたという。さすがに少し疲れているように見えたが、ニコニコしながらデザインの特徴を語ってくれた。

「黒がシルエットを際立たせているでしょう。中にあるパイプの赤が外からチラッと見えるようにしてあります。健常者にはできない楽しみ方としては、脛とふくらはぎの外装部分が着脱可能になっていることがあげられます」
 
撮影チームのリーダーは、映像プロデューサーの鎌田雄介氏だ。私とは、母親どうしが大親友という幼稚園時代からのつきあいで、プロジェクトの記録映像の撮影をお願いしたところ、二つ返事で引き受けてくれた。