大学入試の準備は小5から!「超学歴社会」韓国の熾烈すぎる受験戦争

高1の数学を「先行学習」する小学5年生
金 敬哲 プロフィール

「塾に入るための塾」も

これを受けて、2014年、朴槿恵(パク・クネ)政権は「公教育正常化促進及び先行教育規制に関する特別法」(別名、先行学習禁止法)を発表した。小学校、中学校、高校で行われている先行学習を規制する法案を作ったのだ。

 

しかし、この法律は、学校など公教育機関の先行学習を全面的に禁止する一方、塾などの課外教育機関に対しては、先行学習の広報活動を禁止するに止まり、むしろ課外教育機関の先行学習にお墨付きを与えたという批判を受けた。

大峙洞の有名塾の先行学習のレベルは想像を超える。市民団体「私教育の心配のない世の中」の調査によれば、大峙洞のD学院の場合、小学5年生を対象に難関高校受験コースのプログラムを宣伝しており、実際小5に高校1年生が学ぶ数学を教えていた。5年もの先行教育である。E塾は夏休み特別講義で小学6年生に高1の数学を教えており、F塾は中学1年生を対象に医大進学コースの生徒を募集していた。

有名塾の人気は過熱し、入塾試験をパスするための塾、いわゆる「セキ(息子という意味)塾」まで登場した。英国の「エコノミスト」誌は、2015年9月、韓国の私教育について書いた記事の中で、13歳の生徒が本来17歳で学ぶ内容を先行学習しているエピソードとともに、「塾に入るための塾」すなわちセキ塾について紹介した。

〈大峙洞の人気塾は、独自の入塾試験を行い、点数が低ければ塾に入ることさえできない。有名塾の入塾試験のための塾、いわゆる「セキ塾」が登場したのはそうした理由からだ。(中略)有名学習塾の試験に落ち、セキ塾に通っているというのは大峙洞の親や生徒たちにとっては恥ずかしいことだ。

そのためセキ塾は一切広告を打たない。親も子供がセキ塾に通っていることを隠したがる。しかし、有名塾に無事「進学」した後も、セキ塾を訪れる生徒は依然として多い。有名塾で行われる「先行学習」についていけないからだ

「超格差社会」の韓国では、政府の行き過ぎた新自由主義的政策により、子供たちだけでなく、すべての世代が競争に駆り立てられている。そして、これは、近い将来、日本を含めた全世界に広がっているかもしれない。『韓国 行き過ぎた資本主義』には、まさに資本主義の最先端を行く、韓国のありのままの姿が描かれている。
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