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日テレ・名物プロデューサーがTwitterドラマで見る「地獄」

『ぐるナイ』のモヒカンPの野望と成算
佐々木 博之 プロフィール

それは映画のオーディションから始まった

こうして始まった“Twitterドラマ”だが、地上波の番組作りを熟知した宮下をしておいても、その製作は思っていた以上にハードだという。

テレビ番組の製作は分業が制度化されていて、それぞれが自分の役割を果たせばいい。逆に言うなら、いろいろな人たちが各々役割を果たしてくれていることで、自分がやらないで済むことが山ほどあったという。

ところが、Twitterドラマの現場では、すべてに1対1で向き合わなければならず、しかもいままで培ったノウハウが役に立たない。つまり“丸腰”で対峙しなければならないという。

 

「今はその恐ろしさに呆然としてます。それでもモノを投げれば反応があって、だんだんはっきりと相手の顔が見えてくる。そんなやり取りが生まれつつあります」(同)

実はTwitter動画そのものは特に新しいモノではない。

Twitterドラマ、Twitterムービーにおいても世界的には2,3年前から目にするようになってきていて、国内でも今年に入ってからすでに何例か出ている。しかし、話題に上がったモノはない。
それは、Twitterの持つ可能性を活かしきれていないからだ。

「たいていは30分から40分のムービーを作って、2,3分ずつ切り分けしたものをアップロードしていって終わりという感じです。ボクらがやろうとしているのは、本編の裏のメイキングだったり、キャラクターがこのとき何を考えていたか、とかSNSだからこそできることを小出しにして、楽しんでもらう。制作側も“実はそうだったんですね”みたいなリアクションを楽しむ。

そういう双方向のやりとりがある“Twitterムービー”を作ろうとしているんです。短いがゆえに語り切れなかった部分を本編以外で語れチャンスがあるんだということ。たとえば本当は伝えたかった、登場人物のバックグラウンド、役を演じている役者のその時の心理状態などを伝えることで、そのシーンが別な見方をできる。そんなことがツイッタードラマではできるということですね」」(同)

そうやって作られたTwitterドラマは“混沌”に満ちていた。そしてそれはTwitterの世界の特徴でもあった。

『シンデレラ地獄へ行く』のストーリーをは簡単に説明すると、女性監督が映画を作るためにオーディションで出演者を募り、そこからドラマが進行していく。

『シンデレラ地獄へ行く』より

ところが、実際は簡単に語れるほど単純なストーリーにはなっていない。第1話を見て、混乱してしまった人も多いだろう。

しかしそれは作り手の狙いでもあったようなのだ。
「テレビ番組だったら、何時にテレビのある場所に行ってテレビをつければ見られます。特別な手間は必要ありません。ところがこのドラマはインターネット上で探さなければ見ることができません。それと本編に、実際の出演者の裏話ドラマの中の“出演者”の裏のやり取りなど、いろいろな情報がぶら下がっていて、それに対するフォロワーのリアクションや“いいね”があったりして、またリツイートされたりして、非常に混乱状態にあるわけです。それを作り手側がコントロールしたり、計算したりしてすべてを一つの作品として見せていくという試みなんです」