公立高校教師ユーチューバーの歴史本が、圧倒的支持を得ている理由

わかりやすさの秘密を本人に聞いた
飯田 一史 プロフィール

YouTuber台頭後の「本」の価値とは

──担当編集である鯨岡さんにお聞きしたいのですが、現在、教育系コンテンツとして動画が著しく台頭しています。そうした時代に、動画と書籍との関係、あるいは書籍の位置づけはどうなっていくとお考えでしょうか。

鯨岡 教育系YouTuberは、間違いなくさらなる人気コンテンツになると思います。ただ人気を得た動画のコンテンツをそのまま書籍化して、動画と同じように支持されるかと言うと、そうならない場合もあると考えています。動画の視聴者は紙の教科書や参考書を読むのが苦手なので動画で学んでいるという人が多いのではないか、と私は考えています。字幕やカット割りの妙などは、まさに動画ならではです。書籍の場合、そういった「動画だからこそ」の強みはなくなるわけです。

──ターゲットの違い、メディアの違いを乗り越えないといけないわけですね。

鯨岡 そうですね。ただ、ムンディ先生の授業には圧倒的なオリジナリティがあり、他の先生も授業の参考にするくらい質が高い。コンテンツにオリジナリティがあれば、それは、動画や書籍という媒体を超えて、どこでも支持されると思います。逆にコンテンツそのもののオリジナリティよりも動画ならではの見せ方などで勝負している教育系YouTuberは、書籍というフォーマットには合わせづらいかもしれないと考えています。

私はほかにも、YouTubeで大学数学をわかりやすく講義しているたくみ先生の『難しい数式はまったくわかりませんが、微分積分を教えてください!』や、いま教育系YouTuberとして一躍人気になっているオリエンタルラジオ・中田敦彦さんの『勉強が死ぬほど面白くなる独学の教科書』(11月20日刊行)も担当していますが、いずれも重視しているのは「書籍として勝負できる『中身』を持っているかどうか」なんです。