公立高校教師ユーチューバーの歴史本が、圧倒的支持を得ている理由

わかりやすさの秘密を本人に聞いた

ここ最近、歴史関連書・学習参考書の売上ランキング上位に常に位置しているのが山崎圭一著『公立高校教師YouTuberが書いた 一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』だ。昨年夏の刊行から1年で17万部に達し、今年9月には姉妹編『公立高校教師YouTuberが書いた 一度読んだら絶対に忘れない日本史の教科書』も刊行され、こちらも発売1ヵ月で6万部突破と売れ行き好調。

「公立高校教師YouTuber」で検索してみると、山﨑氏がHistoria Mundi(ヒストリアムンディ)名義でアップしている膨大な数の授業動画にたどり着く。著書のタイトルには「YouTuber」とあるが、いわゆるYouTuber的な太字テロップの多用や顔芸、過剰なリアクションなどはまったくなく、一見、教室で行われているような黒板を用いた講義が淡々と行われていく──それでいて、たしかにわかりやすい。累計再生回数は1300万回を超え、教育系動画としては屈指の人気を誇っているのだ。

公立高校教師による画期的な動画授業、およびユニークな書籍企画はいかにして生まれたのか? その人気の理由とは? 著者の山﨑圭一氏と担当編集者である鯨岡純一氏(SBクリエイティブ)に訊いた。

 

生徒の要望で動画配信を始めた

──山﨑先生が動画を配信し始めたきっかけから教えてください。

山﨑 約7年前、人事異動で勤務先の高校を移ったことです。異動元では2年生の世界史の授業を担当しており、「来年度は近・現代をやるから楽しみにね」と話していたのに、異動で教えられなくなってしまいました。生徒たちに「先生の授業の続きが聞きたい」と言われたのですが、新しい学校でも担任をもち、部活も授業もしなければなりませんから、時間的に難しい。「先生、せめてYouTubeで教えて」と言われ、配信を決意したのです。

ただ、仕事が終わって深夜か休日に動画を撮るしかなく、編集する時間もありませんので、「そのまま、普通の授業を撮って出しする」という感じでやっています。始めた当時は動画授業をやっている人がほとんどいなかったため、参考にする動画もありませんでした。

──先生の動画はいわゆるYoutuber的な派手さはないものの、内容がわかりやすく、また「年号を使わない」とか「地域ごとにまとめて歴史を語る」といった特徴があります。どういう風に今のスタイルを考案されたのでしょうか。

山﨑 もともと教員になった当初から、「地域ごとの歴史の流れがよくわかるように」ということに重点を置いて教えてきました。年号も教え始めた頃からほとんど使わず、因果関係をきちんと押さえていき、まずストーリーをしっかり頭に入れた後にカギとなる年号をいくつか入れる、という手法を使っています。

歴史で最も多くの生徒がつまずくのは、どこを学習しているのか「行方不明」になってしまうということです。一回一回ごとの授業の内容は理解しているのに、積み重ねると全体的にどこの勉強をしているのかわからなくなるのです。