4月 1日 岐阜県神岡のスーパーカミオカンデが完成(1996年)

科学 今日はこんな日

地球のみなさん、こんにちは。毎度おなじみ、ブルーバックスのシンボルキャラクターです。今日も "サイエンス365days" のコーナーをお届けします。

"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。

1995年の今日、世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置で、東京大学宇宙線研究所の「スーパーカミオカンデ」が、岐阜県神岡の地下1000mに完成しました。

スーパーカミオカンデが建設された神岡鉱山は、奈良時代養老年間(720年ごろ)から採掘がはじまった歴史ある亜鉛・鉛・銀鉱山でした。1874年(明治7年)より、三井の経営となりその採出量から「東洋一の鉱山」と言われました。鉱山としては、2001年に採掘が終了しましたが、地質学的に日本の貴重な自然資源であることから、地質百選に選定されています。

現在の神岡鉱山内部 Photo by Yusuke Kawasaki / Flickr

こうした神岡鉱山(跡)は、飛騨片麻岩類と呼ばれる硬い地質学的特徴を持つことから、大規模な掘削に耐えうることがわかりました。ニュートリノ以外の粒子の影響を避けるために地下の巨大な空洞に作る必要のあるニュートリノ観測装置の建設に適していたため、この坑道跡を利用して、1983年に「カミオカンデ」が建設されました。

【写真】大マゼラン雲の超新星SN1987A
  大マゼラン雲の超新星SN1987A。 NASAによる画像 Photo by Getty Imgaes

「カミオカンデ」は、1987年2月23日に大マゼラン星雲でおきた超新星爆発(SN 1987A) で生じたニュートリノを検出しました。この功績によって、小柴昌俊(こしば まさとし、1926-)博士は、2002年にノーベル物理学賞を受賞。ニュートリノ天文学のパイオニアとして広く知られるようになりました。

【写真】小柴昌俊氏
  2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊氏 Photo by Getty Images

この「カミオカンデ」を引き継ぐ観測装置として「スーパーカミオカンデ」が1991年から建設が開始され、1995年に完成、1996年4月より観測を開始しました。

スーパーカミオカンデも、「カミオカンデ」同様、「水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置」と呼ばれる観測装置です。水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置は、超純水中の電子にニュートリノが衝突したときに電子から放出されるチェレンコフ光を、光電子増倍管で検出し、検出した光電子増倍管から、ニュートリノが飛んできた方向を算出するしくみです。

岐阜県飛騨市神岡鉱山内の地下1000mに位置する検出器は、直径39.3m、高さ41.4mの円筒形水タンクに5万トンの超純水を蓄え、その壁に設置された光電子増倍管と、約1万3000本の光センサーなどから構成され、世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置となっています。

【写真】光電子増倍管
  スパーカミオカンデで採用された光電子増倍管 Photo by Getty Images

2001年に、光電子増倍管6900本近くが破損するという事故が起こりましたが、事故後の復旧工事によって、さらなる高性能化を実現しました。

スーパーカミオカンデと、茨城県の高エネルギー加速器研究機構の陽子加速器によるニュートリノ振動研究の成果により、梶田隆章(かじた・たかあき、1959- )博士が、2015年のノーベル物理学賞を受賞したことは記憶に新しいところです。

さらに、2027年の稼働を目標に、スーパーカミオカンデの約10倍になる、直径68m、深さ71mの円筒形のタンクと、4万本の超高感度光センサーを備えた「ハイパーカミオカンデ」の建設が計画されています。

また、先代のカミオカンデ跡には、スーパーカミオカンデとは違った反電子ニュートリノ検出器「カムランド」が設置され、より低いエネルギーのニュートリノの検出を利用した実験・研究が行われてます。

この地中深い場所で宇宙の全体を見る研究がされているなんて、なにか神秘的なものを感じます。

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