11/2(土)18:30~放送の『FNS27時間テレビ にほんのスポーツは強いっ!』にて、今でこそトップアスリートだと誰もが認める松井秀喜氏の星稜高校在学時の秘蔵映像の公開が予定され、放送を心待ちにしていた人も多いだろう(秘蔵映像のコーナーは11/3(日)13:00~放送予定)。

そこで今回FRaU WEBでは、そこからさらにさかのぼり、中学生時代の松井氏のエピソードを、幼少期から読売ジャイアンツに入団するまでの道のりが綴られた講談社文庫『ひでさん〈松井秀喜ができたわけ〉』より抜粋掲載し紹介しよう。

誰もが認める名野球選手・松井氏はどのような厳しいトレーニングや経験を積み、どのような思いで苦しい日々を乗り越え今の姿へと至ったのか。才能ゆえに持ち上げられたら、天狗になってもおかしくなかっただろう。そんな松井氏が、人格者として成長した理由は何か。彼の強さと人柄の秘密に迫りたい。

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秀喜のバッティングを見てコーチは……

高桑はショックを受けていた。

「少年野球ですごく打つ選手がいる」と聞いていたので、秀喜に会うことを楽しみにしていたのだ。しかし第一印象は、

――太っている。この体型で野球ができるのか?
と大いに疑問を抱かせるものだった。中学1年になった秀喜の身長は170センチ、体重は95キロもある。

――他の人の目から見ると凄いかも知れないが、体型を見た限りでは話に聞くほどではない。

根上中学野球部コーチの高桑充裕は根上中学出身で星稜高校、駒澤大学という学生野球界のエリートコースを歩んできた。甲子園出場3回、大学リーグでは2回の日本一を経験している。大学卒業後、根上町役場に勤務し同時に根上中学野球部のコーチに就いた。今年2年目になる。

1年生はまず球拾いから始まる。もちろん秀喜も同じだ。球拾いをしている間、体が大きいとはいえ秀喜はさほど目立つ存在ではなかった。

5月、1年生にもようやくバッティングをするチャンスができた。それを見て高桑は思わず唸った。

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――打球の速さ、スウィングの速さ、パンチ力、やっぱりうわさ通りの子だ3年生と比べても引けを取らない。あるいは超えている。

秀喜のバッティングを見て度肝を抜かれた。太っているから鈍いという固定観念を見事に覆された。

――ものになる。そのためにはまず野球をするための体型になることが先決だ。