フェミニズム・ムーブメント

ここまで掘り下げると、時短ブームの本当の原因が見える。レシピの世界が時短ブームで盛り上がる2010年代後半は、日本を含む世界でフェミニズム・ムーブメントが起こる時期と重なっていることから、見えてくる風景がある。

最近は災害やスポーツイベントその他の報道で、若干メディアでの露出は減っているが、ジェンダーを切り口にした小説やマンガ、テレビドラマなどは盛んに作られ続けている。今は、社会の仕組みを見直し女性の地位を上げる、時代の変革期なのである。

フェミニズム・ムーブメントが盛り上がり始めたのは、2014年。料理レシピ本大賞in Japanが始まり、時短ブームが盛り上がり始めたのと同じ年だ。

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拙書『母と娘はなぜ対立するのか』(筑摩書房)でも書いたが、この年、ハリー・ポッターシリーズで有名になった俳優、エマ・ワトソンがフェミニストとして「He For She」キャンペーンを発表するスピーチを国連総会で行い、感動を呼んだ。

前年にアメリカで封切られた、女性の解放を謳う主題歌『ありのままで』が入ったディズニーアニメ映画『アナと雪の女王』が日本でも公開され、大ヒット。『AERA』が男女の役割意識を問う特集を組み、従来の役割分担を問う家事論争が開始した。

家事の役割分担を問い、専業主婦が担うことを前提とする従来のやり方を見直し、共働き時代に合わせて効率化、あるいは簡略化しようと訴える書籍や雑誌の特集も、これ以降活発になる。レシピの時短ブームは、そういったムーブメントの中にある。