子どもたちが使う教科書。「これ、きれいなのにもったいないなあ」と思ったことはないだろうか。教科書改訂しない状態であれば、繰り返し使えるはずだ。20年間パリに住み、現在日本に帰国しているエッセイストの吉村葉子さんのベストセラー『お金がなくても平気なフランス人、お金があっても不安な日本人』より、オンラインで初めて記事を抜粋掲載する13回目は、「教科書は再利用」が基本というフランスの公立校の話をご紹介しよう。

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小学校に入学した娘が持ち帰った
「古い教科書」

娘が小学校に入学したその日、学校から連れ戻った彼女がカルターブルという横長のランドセルをあけ、次の日からの授業のために用意するものを記したメモと一緒に、先生からもらった教科書を取り出したときが、私の大きな驚きのはじまりだった。

「ママ、先生からもらった教科書にビニールのカバーをつけて」

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娘にとって、生まれてはじめてもらった教科書。嬉しそうにしている娘の顔を眺め、次に肝心の教科書を手にした私は、ただただ唖然とした。ずっしりと重いなん冊もの教科書、それは、ハードカバーにかかった透明なはずのビニールがくすんだ、なん代もの子供たちに使い込まれたセコハン教科書だった。真新しい教科書を想像していた私はそのとき、娘がビニールのカバーをつけてといった意味を理解した。1年間使ってよごれたビニールカバーを外して新しいカバーにつけかえるようにと、担任の先生にいわれたにちがいない。