英語だけじゃない…大学入試改革の「国語記述式問題導入」の害悪

誰も幸せにしない「改革」
おおたとしまさ プロフィール

アルバイトが採点する記述式問題に意味があるのか?

国立・私立大学のほとんどは、それを点数化して国語全体の2割程度の配点とする方針だが、大学によっては配点比率が違う。東北大は合否判定に使用せず、合否ラインに志願者が同点で並んだ場合にのみ利用する方針。思考力や表現力を見るのなら、個別の選抜試験(いわゆる2次試験)で事足りるとの判断だ。

 

青山学院大は多くの学部で「大学入学共通テスト」を併用する入試制度を設けているが、2019年9月12日、当初の基本方針を翻し、少なくとも初年度の「大学入学共通テスト」に関しては国語の記述式問題を合否判定に利用しないことを発表した。「利用」の方針を打ち出していた他大学の判断にも影響を与える可能性がある。

また、このプレテストでは、採点基準の共有に、予想以上の時間がかかった。理由について、大学入試センターの大杉住子前審議役は「基準の確定が遅れたため、採点者が理解する時間が不十分だった」と説明している。

採点はかねてより「専門の業者が行う」ことになっており、このときはベネッセグループが請け負ったが、実際の採点作業をしたのは、約2000人の大学生および大学院生だった。要するに学生アルバイトである。本番の記述式問題の採点もベネッセグループが落札しており、1万人規模のアルバイトを雇って採点に当たることが予想されている。

Photo by iStock

規模が大きくなれば大きくなるほど、公平な採点を実現するためには、正解の幅を限定するように意図的に作問し、採点基準を極限まで明確化し、機械的に作業を行う必要がさらに高まる。

素人に機械的に採点させるのであれば、むしろAI(人工知能)に採点させたほうがいいのではないかという話にもなりかねない。しかしちょっと待ってほしい。巷では「AIにはできないことができる人間を、これからは育てなければいけない」と言われているにもかかわらず、AIに認められる人間かどうかが大学入試合否の基準となり、そのための授業が高校で行われるようになるのだとすれば、大いなる矛盾である。