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日銀の「量的・質的金融緩和レジーム」は本当に毀損したのか?

これまでの金融政策の流れを整理する

「金融政策無効論」をどう見るか

景気の先行きを懸念する声が世界中で強まっているが、日本もその例外ではない。その中で、景気対策として、金融政策だけではなく、財政政策も発動すべきという議論が世界的な潮流になりつつある。

 

ここ数年、絶えずリセッション懸念が囁かれてきた米国で、トランプ政権による大型減税や防衛支出を中心とした積極的な財政拡大策が景気を下支えしている点は財政出動論に説得力を与えているように思える。

ただ、気になるのは、このような「財政拡張論」の背後に、「金融政策無効論」が見え隠れしている点である。

特に日本では、日銀のマイナス金利政策に対する反発が強く、一刻も早いマイナス金利政策の解除を促すような論調が大手のメディアを中心に「正論」として展開されている印象がある。

実は筆者も従来からマイナス金利政策には反対の立場であった。だが、その理由は、マイナス金利政策は、2013年4月以降の「量(マネタリーベース残高)」の拡大を中心とした「量的質的緩和(QQE)政策」の効果を大きく損なわせるのではないかと危惧したためである。

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マイナス金利を導入したのは2016年初めだったが、それ以前の2015年終盤あたりから海外投資家の間では、「日銀の次の一手はマイナス金利の導入ではないか」という噂が出ていた。

筆者も旧知の海外投資家からその噂を耳にしていたが、その理由は、「そろそろ量の拡大は限界が来ていると日銀首脳が認識し始めたから」というものであった。その真偽は不明だが、もし、その説を海外投資家が信じていたとすれば、マイナス金利の導入はQQE政策の「レジーム」毀損を象徴するイベントであったということになる。

結局、日銀はマイナス金利政策を導入したが、その後のマーケットの反応は、筆者の懸念通りとなった。政策金利をマイナスの水準に引き下げたはずなのに、円高が進行したのである。これは、やはりマーケット参加者が日銀のリフレ政策のレジームが毀損したというストーリーで円買い投機を仕掛けたのではないかと筆者は考えている。

それでは本当にQQE政策のレジームは毀損したのであろうか。