ライターの雨宮紫苑さんは20歳のときにドイツに留学、大学を卒業後、22歳でドイツに移住している。前回の記事で、雨宮さんの執筆記事とは関係なく、留学や移住に関する個人的な質問がどんどん来る状況について伝えると、海外在住者のみならず「情報がタダだと思ってる人が多い」「質問に答える人の時間を奪っている意識がない人が多い」と賛同の声が寄せられた。

今回は情報を発信する側でもある雨宮さんが、「では情報は正しいと言い切れるか」ということについて考察する。

雨宮さんのこれまでの記事はこちら

英語だけでドイツに暮らす、の意味

「英語さえできればドイツでは問題なく暮らせます! ドイツ語ができなくとも問題ありません!」

そんなブログやツイートを見ると、なんだかハラハラしてしまう。というのも、ドイツは「英語だけで暮らせる」と断言できる国ではないからだ。

多くのオフィスワーカー、とくに若い人は英語ができるから、たいていの場合は困らない。でも、家を借りるとき英語の書類を拒否された人もいるし、英語で鍵交換依頼の電話をかけて切られた人もいる

役所からの手紙はすべてドイツ語だし、電話ももちろんドイツ語。そもそもドイツの公用語はドイツ語なのだから、ドイツ語ができなければほぼ確実に不便な生活になる。

ただ、そう強く思うのは、わたしが村に住んでいるからかもしれない。アジア人なんてまったく見かけないようなのどかな環境で、英語を話さないお年寄りも多い。大家さんや、害虫駆除、水道や屋根の修理をしてくれた人たちは、だれも英語を話せなかった。

だから、「ドイツ語ができなくてもドイツで暮らせます」という主張を聞くと、「いや待って厳しくない!?」と思うわけだ。

しかし、そういう主張をする人を真っ向から否定するつもりもない。というのも、ベルリンのように外国人が多く、観光客への扱いにも慣れているような土地では、また事情が変わるからだ。

ベルリンは移民も多く、ドイツ語が話せないままに暮らしている人も少なくない Photo by iStock
どの国でも、地方の田舎で人口が少なければ母国語しか話せない人は増える Photo by iStock

つまり、「海外情報」は、マンガのように「真実はいつもひとつ!」とはならないのである。