皇位の女系継承が認められていない「本当の理由」

原因は「女性差別」ではなかった
宇山 卓栄 プロフィール

女性差別ではなく、男性不信論

武力行使者であった男性は潜在的に征服者であり、平和者である女性とは異なり、常に性悪な存在たらしめられてきました。だからこそ、一般女性を皇室に迎えても、一般男性を皇室には決して入れないという不文律が歴代、厳格に守られてきました。

男系男子継承の原理が男尊女卑の恥ずべき封建主義から生まれたとする俗説は、歴史的事実に照らして正しいものではなく、まして、中国特有のものではありません。むしろ、平和者である女性を、野蛮な男性から守り、男性に兵役などの責務を負わせ、その労苦から女性を守るための配慮ある世界共通の方策であったと見るべきです。

そして、現在、ヨーロッパの王室で、女系継承が認められるようになったのは、男性が今日の平和な時代において、かつてのように野蛮な征服者と見なされなくなったことの結果です。

一方、日本皇室で女系継承が認められないのは、日本人(なりすましの場合も含め)の男性が野蛮であるので、その者たちが何を仕出かすかわからないという警戒感が根強く残っているからだと見ることもできます。つまり、女性差別ではなく、男性不信論なのです。

男女同権という今日的な価値観は尊重されるべきですが、同時に、平和的存在である女性に過酷な責務を担わせてはならないという先人が培ってきた価値観もまた、尊重されるべきではないでしょうか。

皇位継承問題について、諸々の価値観を注意深く考慮しながら、男系派と女系派ともに、バランスのとれた真摯な議論が望まれます。

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