皇位の女系継承が認められていない「本当の理由」

原因は「女性差別」ではなかった
宇山 卓栄 プロフィール

母親がユダヤ人であればユダヤ人

ユダヤもまた、女系継承であると誤解されています。

イスラエルの法律では、「ユダヤ人はユダヤ人の母親から生まれた人、またはユダヤ教に改宗を認められた人」(「イスラエル帰還法」より)と規定されています。

ユダヤ人は古来よりユダヤ法により、ユダヤ人の母を持つ者をユダヤ人とするという思想を受け継いでおり、それがイスラエルの国法にも反映されています。父親がユダヤ人でも母親が非ユダヤ人の場合、子供はユダヤ人ではないと見なされます。

子供の父親が誰かは本当には分からなくても、母親から生まれた子は確実に母親の子であるため、母親がユダヤ人ならば、ユダヤ人の血は受け継がれていると考えられています。しかし、これらはかなり厳格な定義であって、実際には、ユダヤ社会で、母親が非ユダヤ人でもユダヤ人と見なされます。

この例の扱いで、注意をしなければならないのは、家系家督と血筋の区別です。上記のユダヤの例はあくまで、ユダヤ人が血筋として認められる条件であり、家系や家督の相続とは関係ありません。

ユダヤ社会もまた、男性が地位や家督を原則、継承します。女性が男性に優先して、地位や家督を継承したということはありません。男子の継承者がいない場合、女子の継承者が認められたということも、他の地域や国々と同じです。そもそも、女性が優先的に家督継承をしたという「女系社会」なるものは、マイナーな部族や民族は別として、歴史上、存在しません。

 

よく、アラブ人とユダヤ人を比較して、前者を男系社会とし、後者を女系社会と一方的に断じた上で、以下のような神話が引き合いにされます。

両民族共通の祖であるアブラハムは奴隷の妾にイシュマエルを生ませます。このイシュマエルの子孫がアラブ民族となったとされます。

後に、アブラハムの正妻が生んだイサクの子孫がユダヤ民族となったとされます。

この神話から、アラブ人は奴隷の妾の母を恥じて、男系を重視し、ユダヤ人はアブラハムの正妻の嫡出子の系統であることを誇り、女系を優先させたとする説がありますが、何の根拠もない俗説に過ぎません。アラブ人を男系社会、ユダヤ人を女系社会とする前提が既に間違っています。

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