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皇位の女系継承が認められていない「本当の理由」

原因は「女性差別」ではなかった

多くの国民が女性・女系天皇に賛成

政府は今秋中に、安定的な皇位継承を確保するため、有識者会議を開き、議論を進める予定です。この有識者会議では、女性及び女系天皇の皇位継承についての是非も議論されると想定されています。

安倍首相は10月8日、参議院本会議で、「男系継承が古来、例外なく維持されてきたことの重みを踏まえ、慎重かつ丁寧に検討を行う必要がある」と述べています。

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各種世論調査では、女性天皇や女系天皇に賛成という意見が7割以上を占めています。多数の国民が男系継承を維持すべきとは考えていません。

皇位を男系男子に限定することに対し、「男女差別だ」「時代遅れ」「今上天皇の直系(愛子内親王殿下)が優先されるべきだ」といった意見があります。

しかし『皇室典範』の第一条には、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」と定められています。男系継承を維持することに、何か、合理的な根拠やメリットがあるのでしょうか。

男系継承が共通原則だったのはなぜか

男系継承は「中国の家父長制(父が家の主として統率権を有するという考え方)に由来する封建的遺物」とする見解がありますが、これはどこの国や地域にもある一般的な考え方でした。

古来、ヨーロッパ社会も男系継承でした。ヨーロッパの王室には、サリカ法という男系男子による王位継承しか認めない規定がありました。サリカ法はゲルマン系フランク人サリー族が6世紀につくったフランク王国の法典に由来します。

男性は戦場に出て戦います。兵役の義務を果たす者が、家督や財産などを継承する権利を持つという考え方を根拠に、サリカ法は男子の継承を規定していました。

男性は女性と異なり、武力を行使する主体として、他を征服することもでき、他の征服から守ることもできます。武力を背景に持つ男性が家督や財産を継承し、責任と義務を果たすべきとする考え方が、男子継承の原則の根底にあったのです。

 

この考え方は一部の例外を除き、古今東西に共通しており、決して、男尊女卑から来る発想ではないということがわかります。

また、武力を持つ男性を潜在的な征服者と見なす観点から、女当主とその配偶者の子、つまり女系子孫には継承権を認めないとする考え方もありました。

しかし、サリカ法は男子の継承者がいない場合、女子の継承を認めていたので、結果的に女系継承を防ぐことができませんでした。そのため、14世紀、フランス王室はイギリス王室の婚姻による王位乗っ取りなどを防ぐため、サリカ法を補強して、女王のみならず女系の王位継承を禁止しました。

これ以降、サリカ法は女子と女系の両方の継承を禁止する法として、ヨーロッパで認識されて、フランス王家以外の王室でも取り入れられていきます。ハプスブルク家(神聖ローマ帝国やスペイン王国)、イタリアやドイツの領邦など、ヨーロッパの多くの国や地域で、サリカ法が維持されました。