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今、多くの人が陥る「奴隷労働」の実態と構造

私たちに「自由」はあるのだろうか

人が奴隷労働に陥る二つのケース

「奴隷労働」という言葉を目にすることが多くなった。

この言葉を題名にもつ本もいくつかあるが、ほとんどは外国人技能実習生の労働実態を告発するもので、「外国人材」導入政策と合わせて議論されることが多い。

そこで話題になることの一つに、仲介ビジネスの横行がある。

外国人技能実習生の多くは、多額の渡航費用を借金して来日し、その返済のために、劣悪な長時間労働の現場から逃げるにも逃げられない状況にあるというのだ。

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歴史的に見れば、人が奴隷労働に陥るのには、大きく分けて二つの場合がある。

一つは戦争捕虜であり、もう一つが債務奴隷だ。債務奴隷は古代から現代まで世界の各地に見られるものだが、技能実習生の多くもその実態はほとんど債務奴隷だと言っていいだろう。

しかし、である。彼らは私たちとは違う「不運でかわいそう」な人びとなのだろうか。私たちは幸いにも奴隷労働とは縁遠い生活を送ることができている、と言えるのだろうか。

 

奨学金や住宅ローンという借金

アダム・スミスは『道徳感情論』の中で、「幸福」とは「健康で、借金がなくて、心にやましいところがない」状態だと定義している。

しかし、私たちの多くも借金と無縁ではない。